固定価格買取制度(FIT)の買取期間が終了した太陽光発電など(卒FIT)の所有者に、新電力が共同で各社の買い取りメニューをアピールする「卒FIT買取事業者連絡会」が10月23日に発足。参加新電力の募集を開始した(連絡会サイト)。

 連絡会参加事業者は、エリアの大手電力が卒FIT対象者に送付する「買取期間満了通知」に、自社が提供する卒FIT買取メニューの情報を同封することができる。JXTGエネルギー、Looop(東京都台東区)、大阪ガスの3社が中心になって立ち上げた。さらに、出光興産や東京ガスなども参加を検討しているという。

 国の買取義務がなくなる卒FITを巡っては、既に多くの事業者が買い取りに名乗りを上げている。大手電力10社のほか、40社を上回る新電力や住宅メーカー、家電メーカーなどが買取価格を含むメニュー内容を発表済みだ。2032年以降は、大規模な産業用や事業用も卒FITを迎える。CO2フリー電源である再生可能エネルギーをどう獲得するかは、今後の電力ビジネスを左右する大きな要素だ。

「卒FITの情報が全くない」

(出所:PIXTA)

 だが、そこには新電力から見たとき競争上の大きな問題があった。

 今回、卒FITとなるのは2009年11月に始まった「余剰電力買取制度」の対象だった太陽光発電で、その後、全量買取に移行できなかった住宅用(10kW未満)だ。最も早いものはこの11月で余剰電力の買取期間10年が終わる。

 この制度が始まったとき、国が買い取りを義務づけたのが大手電力で顧客管理を担っていた小売部門だった。全面自由化や発送電分離の議論が影も形もなかった当時、これは自然な成り行きだったと言える。

 だが、10年を経て、全面自由化に移行済みの現段階では、このことが大手電力と新電力に大きな格差を生む要因となっている。当時FITの買取契約を結んだ大手電力小売部門は、いつ、どこでFIT切れが生じるのかを知り得るのに対して、新電力は「卒FIT予定者に効率的にアプローチする手段を持っていない」(大手新電力幹部)。これでは公平な競争にならない。

 この情報の非対称性は資源エネルギー庁の2018年秋の有識者会議(再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会)でも取り上げられ、卒FIT対象者に対する情報提供のルールが決まった。

 大手電力には卒FIT対象者にFIT期間終了期日のほか、終了後の選択肢として「売電先は選べる」「売電以外に自家消費も選べる」などの客観的な説明を個別に知らせる買取期間満了通知の送付を義務づけた。

 そのうえで、客観的な個別通知とセット(同封)であることを条件に大手電力は自社の卒FIT買取メニューを告知できるとし、宣伝だけを目的とした通知は行えないと整理した。

 ある大手新電力幹部は「最も恐れていたのは大手電力が対象者リストを使って自由に宣伝や営業をすることだった。そこに制限が加わったことは評価できる」と話す。だが、個別通知とセットで自社メニューを告知できる大手電力と、アプローチ手段を何も持たない新電力との差は残ったままだった。

 そうした不満が新電力にくすぶっていた中、卒FIT買取事業者連絡会の構想が7月31日の電力・ガス取引監視等委員会の有識者会議(制度設計専門会合)の場で公表された。

 JXTGエネルギーや大ガスなどが、大手電力による個別通知に新電力の卒FIT買い取り情報も同封できるスキームづくりを目指しているという報告だった。その後、大手電力との調整や連絡会の運営規則などにめどをつけ、今回、卒FIT開始直前になって参加事業者の募集にこぎ着けた。

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