日経BPは小売電気事業者の会員組織「日経エネルギーNextビジネス会議」を運営している。年4回の定例会合は、会員である約70社の新電力が、その時々の課題を議論し、問題意識を共有する場だ。次回は11月25日に「自然災害とマイクログリッド」をテーマに開催する(詳細はこちら)。本稿では8月に開催した会合の様子を振り返ってみたい。

日経BPは小売電気事業者の会員組織「日経エネルギーNextビジネス会議」を運営している。写真は8月の定例会合の様子

 8月28日に日経BP本社で開催した定例会合のテーマは「独占禁止法」と初回入札を終えたばかりの「ベースロード市場の活用状況」だった。圧倒的なシェアと電源保有率を誇る大手電力との競争は新電力にとって大きな問題だ。かねて続いている大手電力の安値攻勢が「独禁法違反ではないか」と感じている新電力は少なくない。

 会合では、新電力同士の議論に先立ち、國峯法律事務所の國峯孝祐弁護士に、電力小売りにおける独占禁止法について解説してもらった。

 國峯弁護士は2006年に経済産業省に入省。2014年に退職して弁護士に転じた。経産官僚時代は電力システム改革に携わり、電力のデリバティブに関する法改正などを担当した経験がある。現在は、様々な規制対応を専門に扱う。

 冒頭、國峯弁護士は「新電力の方から相談を受けることがあるが、その多くは大手電力による廉売についてだ。こうした状況が既に2年以上続いており、その間に高圧分野における新電力のシェアが(大手電力の巻き返しによって)下がってきた。独禁法上の問題が生じていないかどうか、新電力のみなさんと情報交換したい」と述べた。

 講演では、まず独禁法の法的位置づけを解説。独禁法が禁じている「私的独占」と「不公正な取引方法」とは、どういったものかを説明した。さらに、過去に公正取引委員会が摘発した事例を取り上げ、大手電力と新電力の競争における独禁法違反をどう判定すべきかについての見解を示した。

 國峯弁護士は、電力の競争において電力・ガス取引監視等委員会が示す判断の根底には独禁法があると説明。「独禁法は要件認定が厳しく、なかなか違反を認定しにくい。だからこそ監視委員会が独禁法の考え方で整理したのが2018年の『取戻し営業』の禁止であり、今秋に始まる『小売市場重点モニタリング』もこれに当たる」と解説した。

ほぼ全社が大手電力の安値攻勢を経験

 講演終了後は会合に参加した新電力を対象に、会場でスマートフォンを活用したリアルタイムアンケートを実施。新電力が抱える問題意識や大手電力の営業状況などが浮かび上がってきた。

グラフ1●「大手電力による安値攻勢に遭遇したことがあるか?」
(出所:日経BP「日経エネルギーNextビジネス会議」2019年度第2回定例会合)

 まず、「営業現場で大手電力による安値攻勢に遭遇したことがあるか」を聞いた(グラフ1)。アンケートに参加した新電力の約半数が「何度もあった」と回答し、「そう多くはないがあった」を合わせると、ほぼ全社で安値攻勢に直面した経験があった。

 次に「大手電力の安値攻勢に遭遇することが多いエリア」を聞いた(グラフ2)。最も多かったのが東京電力エリア。次いで関西電力エリア、東北電力エリアが続いた。

グラフ2●「大手電力の安値攻勢が多いエリアは?」
(出所:日経BP「日経エネルギーNextビジネス会議」2019年度第2回定例会合)

 北海道電力エリア、中部電力エリア、中国電力エリア、中部電力エリアでも安値攻勢に遭遇した新電力はあったものの、東電、関電、東北に比べると少なかった。安値攻勢が目立った時期は東電エリアが2017年、関電エリアは2018年頃で、参加者の認識はほぼ一致した。

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