あけましておめでとうございます。日経エネルギーNext編集長の山根です。2020年もどうぞよろしくお願いします。

 2019年は多くの方々にとって、気候危機を体感する年だったのではないでしょうか。巨大台風が次々と襲来し、多数の死傷者を出し、建物は損壊し大規模停電が起きました。16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんから発せられた無責任な大人への叱責の言葉。気候ストライキには、世界で750万人の若者が参加しました。小泉進次郎環境大臣の外交デビューが話題となる傍ら、日本の石炭火力問題は抜き差しならない状況になってきました。

(出所:PIXTA)

 12月には第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)が開催されました。パリ協定の運用ルールや温室効果ガス削減目標引き上げについて合意には至りませんでしたが、日本にとっては厳しいCOPだったと言わざるを得ません。

 小泉環境相はCOP25で「日本が国際的に批判されていることは承知している。しかし、石炭火力発電に関する新たな政策をこの場で共有することは残念ながらできない」とスピーチしました。

 政府が石炭火力への方針を固めていない以上、環境相の発言としては想定内。ですが、日本が今なお石炭火力を推進していると強い批判にさらされたのは言うまでもありません。

 ある大手エネルギー会社幹部はCOP25の閉幕後に語った言葉が、日本の置かれた状況を表しています。「このままでは日本は完全に世界から孤立する。少なくともグローバルで石炭火力はNGだという世論が形成されてしまった」。

エネルギーの世界の10年は「あっという間」

 日本の電源構成に占める石炭火力は30%を超えています。石炭火力は今の日本にとって、欠かせない電源であることは間違いありません。「原子力発電所が20基稼働したとしても、石炭火力を止めたら停電する」と大手電力関係者は言います。

 電源開発は一声10年。太陽光発電のような短期間で完工可能な電源はむしろ少なく、ガス火力発電も洋上風力発電も10年近くの時間がかかります。地熱発電や原子力に至っては10年では難しいのが実情です。

 エネルギーの世界の10年はあっという間。電力業界からは「2030年までにできることは、ほとんどない」という声が聞こえてきます。

 ただ、「2050年ならやりようがある」という意見を耳にする機会は増えています。2050年には再エネで世界の電力需要の半分を賄えるという研究者もいます。まだ見ぬテクノロジーが出てくる可能性もあります。

 テクノロジーの萌芽を呼び起こすためにも、政府が中長期の方向性を明確にすることが欠かせません。産業界にメッセージを出し、必要とあれば経済的なインセンティブを与えることが、将来を見据えが研究開発投資を後押しします。いくら海外市場が広がろうと、足元の国内市場が真っ暗闇では、日本企業の行動にブレーキをかけかねません。

 国際世論は既に石炭火力を目の敵にしています。欧州発のパワーゲームという側面も、もちろんあります。ですが、押し黙ったままでは日本の立場が弱くなるだけ。このままでは言いたいことも言えなくなってしまいます。ならば、次世代のエネルギー関連技術の世界でイニシアティブを取ることを視野に、さっさとスタンスを明確にすべきではないでしょうか。

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