電力不足が深刻さを増している。最大の要因であるLNG(液化天然ガス)の不足はなぜ起きたのか。その背景には、電力自由化や再エネの拡大といった電力システムの変化がある。発電事業者が適正なLNG調達量を判断しにくくなっていたのだ。

深刻な電力不足の最大の要因は火力発電燃料のLNGの不足だ
(出所:Adobe Stock

 2020年12月末に顕在化した電力不足は新年に入ってから深刻さを増し、いつ停電が起きてもおかしくない綱渡りの状況が続いている(「3.11以来の電力不足でも国が節電要請を出さないワケ」)。

 今回の電力のひっ迫には大きく2つの要因がある。本誌で既報の通り、寒波による冷え込みで電力需要が増加したこと。加えて、火力発電燃料のLNGの不足である(「電力市場の異常な高騰はまだまだ続く? LNG供給に乱れ」)。

 確かに寒波は厳しいもので、電力需要は全国で増加している。ただ、ここまでの需給ひっ迫とJEPX価格の高騰を招いた最大の要因はLNGの不足の方だ。中国と韓国によるLNG輸入量の増加、産ガス国での生産設備トラブル、新型コロナ影響によるパナマ運河の通関手続き遅延などが絡み合っている。

 ここで一つ、疑問が湧く。いくらLNGの需給がタイトになっているとはいえ、冬の電力需要を正確に予測し備えていれば、ここまで不足することはなかったはず。何が起きていたのだろうか。

「JERAのLNG調達量が少なかった説」の真偽

 国内エネルギー企業で圧倒的な事業規模を誇るのが、東京電力グループと中部電力の燃料・火力部門を統合したJERA(東京都中央区)だ。LNGの年間取扱量は世界最大規模の約3500万トン。もちろん国内では圧倒的な大手である。さらに国内の火力発電所の約半分をJERAが保有している。

 LNGの調達量を原因とする電力不足となると、そのJERAの動向が気になるのは当然のこと。しかも、ここのところ「JERAの調達量が少なかったからLNGが不足した」「JERAが在庫薄の状況で冬に突入したのが原因だ」といった話が聞こえてくることがある。

 ただ、この読み筋は必ずしも正解とは言えない。様々な要素が絡み合っているが、突き詰めていくと電力システム改革によって、JERAを筆頭とした発電事業者が電力需要を把握できなくなっていたことにたどり着く。LNGと電力の需給状況を時系列で振り返ってみよう。

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