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 資源エネルギー庁が容量市場の見直し案を決めた。衝撃的な高値約定は世間の耳目を集め、見直しを求める声が高まったにもかかわらず、エネ庁の見直しは“微修正”の域を出ていない。日本の電力市場の根本問題が置き去りにされたままだ。

 4月15日、2021年度入札に向けた容量市場の制度見直し案が決まった。

 2020年7月の初回入札は、上限価格より1円安い1万4137円/kWという世界に例を見ない高値で約定した。2024年度の容量拠出金の総額は1兆5987億円に上り、このうち小売電気事業者分は経過措置(負担軽減策)適用後で1兆4650億円に達した。

 今回の見直しは、この衝撃的な約定結果を踏まえたものだが、見直し案は“微修正”の域を出ていない。小売電気事業者からは、「これで容量市場が正常化するかどうかはとても確信が持てない」(新電力幹部)との声が上がる。

 これまで資源エネルギー庁は「供給力確保の仕方」「入札価格」「小売事業環境の激変緩和」などの5項目について見直しを検討してきた。

 初回入札の高値は、「埋没電源」(4年後の稼働が不確実なため入札を見送った電源)の多さが要因の1つと考えられた。そこで、供給力確保の仕方を見直し、目標調達量(H3需要=月間最大3日平均電力の112.6%)の2%を実需給1年前の追加オークションで調達することとし、その分、メインオークションでの調達量を減らす。

微修正にとどまった見直し議論

 もともと、追加オークションは直近の需要予測の変化を調整する措置だったが、実需給が近づいた段階で一定量を調達するプロセスと位置づけることで、埋没電源を減らすのが狙いだ。4年先に電源を動かせるかどうかが不透明でも、1年前なら確実な稼働が見通せる電源を増やせると期待する。また、入札しない電源の条件を厳しくし、売り惜しみ防止を強化する。

 入札価格については、不当な価格つり上げ防止を強化する観点から、ガイドラインに沿った事後監視(約定処理後)に加え、大手電力を対象に「NetCONE」(指標価格:新設電源の維持コストから他市場収益を差し引いたkW当たりの正味コスト)を上回る入札については事前監視も実施する。

 激変緩和措置は減額対象や減額方法を見直し、これまでの経年電源(2010年以前の建設)を対象にした減額(2021年度は約定価格の7.5%)に、入札価格が約定価格の一定比率(80%)を下回る電源を対象に減額(同18%)する方策を組み合わせる(*1)。エネ庁の試算によると2021年度入札(2025年実需給)では、約定総額の約22%の減額が見込めるとしている(2020年度実績の減額は約8%)。なお、発電事業者の高値入札を許した要因として最も物議を醸した「逆数入札」(*2)はなくす。

*1:約定価格付近で入札した電源は維持コストが高く、減額すると退出可能性が高いと想定されるため減額対象から外すという考え方

*2:激変緩和のための容量拠出金減額を前提とすると維持管理コストを賄えない電源に対して、必要な金額を確保する機会を与えるために初回入札で認めた入札方法

 これらの見直しは「小売電気事業者の負担が(初回に比べて)減る方向に働く」とエネ庁は説明する。だが、いずれの見直しも1つ1つは微調整と言えるもので、それらを積み上げても大胆な見直しにはほど遠い。

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