固定価格買取制度(FIT)が始まって以来、売電一辺倒だった太陽光発電。だが、ここにきてビジネス環境が変わってきた。卒FITの買い取りに名乗りを上げる事業者が続々と登場し、SDGs/ESGの潮流とともに自家消費への機運が高まっている。また、太陽光パネルや蓄電池などの設備をサービス提供事業者が保有する「第三者保有モデル(TPO)」も広がりを見せている。
 日本初のTPOモデルは、日本エコシステム(東京都港区)が電力全面自由化と同時にスタートさせた「じぶん電力」だ。斬新なビジネスモデルが話題となるも、契約数は伸び悩み、ひっそりと営業活動を停止。既に日本エコは事業を手放したという。なぜ、じぶん電力は苦戦したのか。日本初のTPOモデルを世に送り出した元日本エコ取締役・電力事業部長の石原敦夫氏とともに振り返る。

日本初のTPOモデル「じぶん電力」の生みの親、元日本エコシステム取締役・電力事業部長の石原敦夫氏

――「じぶん電力」のビジネスモデルを改めて教えてください。

石原氏 個人向けのTPOモデルです。戸建て住宅に日本エコが太陽光パネルを設置し、所有します。ユーザーは太陽光による電力を自家消費し、不足分は日本エコが供給します。

 太陽光の自家消費部分は一律の電気料金単価を定め、不足分は一般的な三段階の料金体系としました。東京電力エリアの自家消費分の電気料金は27円/kWhでした。ユーザーにとっては初期投資ゼロで太陽光発電を設置でき、非常用電源として利用できるメリットがあります。毎月の電気料金は大手電力よりも3%程度安くなる水準でした。契約期間は20年間。契約期間終了後、太陽光発電システムは無償でユーザーに譲渡します。

 日本エコは、保有する太陽光パネルにかかる費用を電気料金から回収します。自家消費分の電気料金に加えて、太陽光による余剰はFITにより日本エコが売電する仕組みです。

 2016年4月、全面自由化と同時にサービスを開始しました。日本初のTPOモデルということもあり、説明には手間がかかりました。第1号の契約がまとまったのが、その年の7月頃でした。件数は控えますが、契約を積み重ねていくのは難しかったというのが実情です。

――じぶん電力は現在、どういう状況なのですか。

石原氏 実は、2018年12月に東京電力グループの小売電気事業者であるTRENDE(東京都千代田区)と事業譲渡にかかる契約を締結。今年3月、TRENDEに事業を引き継ぎました。TRENDEは太陽光のTPOモデルに取り組んでいます。良縁だったと思います。

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