東京電力グループの一般送配電事業者、東京電力パワーグリッド(PG)が今夏、それまで新規接続を中断していた千葉方面・佐京連系で追加の接続募集を実施した(東電PGの「画期的な系統運用」がスタート、なぜかブレーキ踏む広域機関)。太陽光や風力を中心に容量で500万kW程度の再生可能エネルギーが新たに接続される見込みだ。
 背景にあるのが、「日本版コネクト&マネージ」と呼ばれる系統接続のルールや運用の見直しだ。再エネの大量導入などを目指して資源エネルギー庁がとりまとめた。エネ庁の方針の下で「日本版コネクト&マネージ」の詳細検討を担う電力広域的運営推進機関の松原雄樹・計画部長に今後の課題と展望を聞いた。

――「日本版コネクト&マネージ(C&M)」は系統接続の運用ルールを見直すことで、これまで空き容量がないことを理由に再生可能エネルギーなどの接続を拒んできた地域においても新規接続の可能性を広げるものです。進捗をお聞かせください。

松原雄樹(まつばら・ゆうき) 電力広域的運営推進機関計画部長
1993年関西電力入社。電力流通事業本部系統運用グループマネジャーなどを経て、2017年に電力流通事業本部中央給電指令所長。2019年から電力広域的運営推進機関計画部長(出向)

松原氏 再エネは導入量が増える一方で、どんどん地域偏在が強まってきています。(火力などの)安定電源も新陳代謝を進めていく必要があります。減少が見込まれる電力需要とインフラの整備や建設をどう結び付けていくかが問題です。

 その打ち手が系統増強を抑えて既存設備をできるだけ有効活用するC&Mです。「想定潮流の合理化(*1)」「N-1電制(*2)」「ノンファーム接続(*3)」という3つの手法からなり、想定潮流の合理化とN-1電制については2018年から全国の一般送配電事業者がこの考え方を取り入れた空き容量を各社のホームページ(HP)で公表しています。ノンファームについては試行という形で東京電力パワーグリッド(PG)が先行的に接続募集を始めています。

*1 想定潮流の合理化:従来、想定潮流は軽負荷期や重負荷期などの特定の時期に電源がフル稼働(出力最大)で発電する想定で算出してきた。その結果、実際の需給よりも過渡に空き容量を確保していた。想定潮流の合理化は、需要に応じて実態に則した電源稼働を想定して算出する。2018年4月から一般送配電事業者全社が対応。
*2 N-1電制:送変電設備で故障(N-1故障=単一設備故障)が起きた時に、リレーシステムで瞬時に発電機を停止することで、緊急時用に空けておいた容量の一部を活用し、運用容量を拡大する取り組み。2018年10月から一般送配電事業者全社が対応。
*3 ノンファーム接続:潮流は時間帯や季節で変わる。系統に空きがあるときには発電することができる新たな電源接続の考え方。送電線の運用容量を超える時間帯は出力抑制をかける。東電PGが千葉方面で試みる運用では、年間の1%以下に相当する時間で出力抑制をするだけで500万kWの追加接続が可能になる。仮に従来ルールで同規模の接続をする場合、系統増強に約1000億円の費用と10年以上の工期が必要だった。

出力抑制が条件の「ノンファーム」

――既に全社が採用したという「想定潮流の合理化」と「N-1電制」によって、どこでどれだけ空き容量が増えたのでしょうか。各社のWebサイトで確認することができますか。

松原氏 「想定潮流の合理化」を織り込んだ結果としての空き容量と、「N-1電制」については適用可否と適用可能量を送電線ごとに各社が公開しています。単純に増分を表現することが難しいこともあって、エリアごとにどれだけ増えたかは公表していません。

 ただ、定量的な効果を知りたいという要望はあるので、広域機関がある仮定に基づいた試算を公表しました。全国の空き容量拡大効果として「想定潮流の合理化」によるものが約590万kW、「N-1電制」が4040万kWと見積もりました。具体的にどこでどれだけ接続できるかは各社のWebサイトを見て判断してもらうことになります。公表している空き容量やN-1電制の可能性を前提に、各社は接続検討を進めていきます。

――「想定潮流の合理化」や「N-1電制」は必ずしも新しい取り組みというわけではなく、既にこうした考え方を取り入れていた事業者もあったように聞いています。

松原氏 これまでに自主的な判断で取り組んでこられた事業者もいます。今回、C&Mという概念で考え方やルールを統一し、一般送配電事業者10社で共有したことが大きいと考えています。

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