東京電力グループの一般送配電事業者、東京電力パワーグリッド(PG)が今夏、それまで新規接続を中断していた千葉方面・佐京連系で追加の接続募集を実施した(東電PGの「画期的な系統運用」がスタート、なぜかブレーキ踏む広域機関)。太陽光や風力を中心に容量で500万kW程度の再生可能エネルギーが新たに接続される見込みだ。
背景にあるのが、「日本版コネクト&マネージ」と呼ばれる系統接続のルールや運用の見直しだ。再エネの大量導入などを目指して資源エネルギー庁がとりまとめた。エネ庁の方針の下で「日本版コネクト&マネージ」の詳細検討を担う電力広域的運営推進機関の松原雄樹・計画部長に今後の課題と展望を聞いた。
――「日本版コネクト&マネージ(C&M)」は系統接続の運用ルールを見直すことで、これまで空き容量がないことを理由に再生可能エネルギーなどの接続を拒んできた地域においても新規接続の可能性を広げるものです。進捗をお聞かせください。
松原氏 再エネは導入量が増える一方で、どんどん地域偏在が強まってきています。(火力などの)安定電源も新陳代謝を進めていく必要があります。減少が見込まれる電力需要とインフラの整備や建設をどう結び付けていくかが問題です。
その打ち手が系統増強を抑えて既存設備をできるだけ有効活用するC&Mです。「想定潮流の合理化(*1)」「N-1電制(*2)」「ノンファーム接続(*3)」という3つの手法からなり、想定潮流の合理化とN-1電制については2018年から全国の一般送配電事業者がこの考え方を取り入れた空き容量を各社のホームページ(HP)で公表しています。ノンファームについては試行という形で東京電力パワーグリッド(PG)が先行的に接続募集を始めています。
出力抑制が条件の「ノンファーム」
――既に全社が採用したという「想定潮流の合理化」と「N-1電制」によって、どこでどれだけ空き容量が増えたのでしょうか。各社のWebサイトで確認することができますか。
松原氏 「想定潮流の合理化」を織り込んだ結果としての空き容量と、「N-1電制」については適用可否と適用可能量を送電線ごとに各社が公開しています。単純に増分を表現することが難しいこともあって、エリアごとにどれだけ増えたかは公表していません。
ただ、定量的な効果を知りたいという要望はあるので、広域機関がある仮定に基づいた試算を公表しました。全国の空き容量拡大効果として「想定潮流の合理化」によるものが約590万kW、「N-1電制」が4040万kWと見積もりました。具体的にどこでどれだけ接続できるかは各社のWebサイトを見て判断してもらうことになります。公表している空き容量やN-1電制の可能性を前提に、各社は接続検討を進めていきます。
――「想定潮流の合理化」や「N-1電制」は必ずしも新しい取り組みというわけではなく、既にこうした考え方を取り入れていた事業者もあったように聞いています。
松原氏 これまでに自主的な判断で取り組んでこられた事業者もいます。今回、C&Mという概念で考え方やルールを統一し、一般送配電事業者10社で共有したことが大きいと考えています。
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