2018年10月に突如、公開された未稼働太陽光発電に対する新たな規制は、太陽光業界を騒然とさせました。業界内外を巻き込んだ論争となり、経済産業省が12月5日にパブリックコメントを受けた修正案を提示することで決着しました。そして今年3月29日、省令・通達が公布されたのと同日に主要な手続きが締め切りを迎えました。
 新規制の下、既存のFIT価格を維持できた案件もあれば、維持できなかった案件もあり、明暗がくっきりと分かれました。ただ、所定の手続きの期限が延長された一部の大型案件は、FIT価格を維持できるのかどうか、まだ確定していません。
 未稼働太陽光発電に対する新規制の正式な施行を踏まえ、最新の規制内容を振り返るとともに、未稼働プロジェクトに投資する際の注意点を、西村あさひ法律事務所の川本周・弁護士に解説してもらいました。

(出所:PIXTA)

【質問1】未稼働太陽光発電の新規制は、経産省が当初案を提示してから修正案を出し直すまでに紆余曲折がありました。結局、どのような制度になったのですか。

【回答1】制度の大まかな枠組みは以前、本コラム「長期未稼働案件の買取価格減額、対応は待ったなし」にて紹介した通りです。ただ、その後、発電容量で2MWを超える大規模案件について制度の適用除外や所定手続きの延長などの措置が講じられました。

 新制度の内容を簡単におさらいしておきましょう。 現在のところ、固定価格買取制度(FIT)がスタートした2012年度から2014年度までにFIT認定を受けた10kW以上の事業用太陽光発電のうち、未稼働案件のFIT価格を減額する制度です。買取価格でいえば40円/kWh、同36円、同32円の案件です。来年度には、2015年度のFIT認定にも適用範囲が拡大される予定です。

 認定時に比べて太陽光発電のシステム価格は低減していることから、当時の買取価格で稼働させれば事業者は当初の想定以上の利益を手にします。他方、再エネ賦課金による国民負担の圧縮は大きな課題となっていることから、未稼働案件のFIT価格を見直そうというわけです。

 経産省はこれまでにも未稼働案件への対策を取ってきました。2016年8月1日以降に送配電事業者から接続の同意を得た案件は運転開始期限の制度、いわゆる「3年ルール」の適用を受けているので、新規制の対象外です。

 新規制は、「系統連系工事着工申込書」が施行までに一般送配電事業者等に受領されていない未稼働案件のFIT価格を変更します。系統連系工事着工申込書が受領された時点の2年前のFIT価格を適用するとしたのです。

 さて、2MW未満の案件は、系統連系工事着工申込みの受領期限が原則として3月29日に定められていました。ただし、条例による環境アセスメント手続きの対象となっているものについては、受領期限を2020年3月31日とし、1年間の猶予を例外的に認めることになりました。

 つまり、2MW未満の案件は、条例アセスによる例外を除くと、3月29日時点でFIT価格を維持できたかどうかが決まったわけです。既に明暗が大きく分かれています。

 一方、2MW以上の案件については、いくつかの適用除外が設定されました。大規模な案件になると相対的に手続きに時間を要するためです。本格的に開発工事に着手していることが公的手続きによって確認できる案件は、この適用除外によって救済します。

 適用除外は2段階になっています。まず、新規制の修正案が公表された2018年12月5日以前に電気事業法に基づく工事計画届出が不備なく受理されている案件は適用除外となります。

 12月5日時点で工事計画届出が受理されていない案件でも、林地開発許可などの公的手続きによって開発工事に本格着手していることが客観的に証明できれば、今年の10月31日までに工事計画届出に係る工事に着手することを条件として適用除外となります。なお、適用除外を受けるためには、「適用除外確認依頼書」を経産省に提出する必要があります。提出期限は3月29日に終了しました。

 2MW以上の大型案件については、適用除外に該当しない場合でも、系統連系工事着工申込みの受領期限を9月30日まで延長しました。2MW未満の案件に比べて、6カ月の猶予を認めたわけです。

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