電力・ガス取引監視等委員会は8月7日、一般電気事業者(大手電力)にある要請を行った。

 監視委員会が大手電力各社に出した「電力の卸供給の在り方について」と題した文書がそれだ。卸供給に関する新電力との交渉窓口は競争を排除する誘因をもたない発電部門などが行うことが望ましいと記した。大手電力に自主的取り組みを求めたのである。

 新電力事業の原価の大半は電源調達が占めている。電源調達方法は大きく相対取引と市場取引の2つに分かれる。前者は、発電事業者や他の小売電気事業者からの調達、後者は卸電力取引所(JEPX)を活用した調達である。

増える相対契約、JEPX依存度を下げる新電力が続出

JEPX比率を縮小し相対取引を増やしたイーレックス
出所:イーレックス 2019年3月期決算補足説明資料(2019年5月13日発表)

 昨夏にみられたJEPXスポット価格高騰の影響などもあり、変動要素の高い市場取引を回避し、相対取引にシフトする新電力は少なくない。

 例えば、イーレックスは、2019年3月期の決算発表資料に「相対電源を拡大し、JEPXの依存度を縮小、自社及び相対電源を主体に電源調達を安定化」と記載した。2018年度は上期に比べて、下期は大幅にJEPX比率を引き下げ、相対取引の比率を高めていたことが分かる。

 新電力の電源調達に占める相対取引の割合が増えるなか、出し手の1つである大手電力に対して監視委員会が要請を出したわけだ。

 では、実際の電力取引の現場はどうなっているのか。事業者によって様々なやり方があるが、一例を挙げると以下のような流れになっている。

 まず、翌期の需要計画を策定し、確保済みの電源を充当する。不足分について、市場取引とするか相対取引とするかを検討する。この際、燃料価格や電力市場価格の動向を予測し、収益へのインパクトを推定する。相対取引分は、発電事業者や小売電気事業者との交渉を進め、条件合意に至れば契約締結の運びとなる。

 肝心なのは、どうやって相対取引の交渉相手を見つけるか。交渉先として存在感を高めているのが、電源を圧倒的に保有する旧一般電気事業者である。

 大手電力による卸供給には、いわゆる相対取引と、新電力の需要の一定程度までルールとして大手電力が提供する「常時バックアップ電力」がある。

 常時バックアップを利用する新電力は多い。新電力は、高圧以上であれば託送契約電力の30%、低圧であれば10%を上限に供給を受けることができる。ただし、常時バックアップで供給電力のすべてを賄うことはできないため、さらに調達を増やす必要がある。

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