東電PGが5月に公表した「画期的な系統運用」に基づいた、太陽光発電などの系統接続の受け付けが始まった。わずかな出力抑制をすれば500万kWの新規接続が可能だ。しかし、今後はどこまで広がるか不透明だ。資源エネルギー庁や電力広域的運営推進機関がなぜか慎重になっている。

 東京電力パワーグリッド(東電PG)は9月18日、千葉方面に太陽光・風力など再生可能エネルギーによる発電計画を持つ事業者を系統に受け入れることが可能になったと発表した。千葉方面から東電PG管内の他エリア向けに送電する500kV新佐原線・新京葉線(佐京連系)は従来ルールでは空きがないことになっていたが、新たな考え方に基づく試行的な取り組みが始まった。

 東電PGは、5月17日に新たな接続の概要を発表しており、本コラムでも取り上げた(「東電PGが公表した『再エネを増やす画期的な系統運用』の威力」参照)。
同社は8月9日に発電事業者向け説明会を開催。400人ほどが参加する大変な盛況ぶりであった。

 東電PGは説明会の場で、千葉方面で500万kWを新規に接続する場合、送電線の運用容量を上回る時間は年間の1%以下であることを公式に明らかにした。年間1%の出力抑制を行えば系統の増強工事なしに接続が可能となるわけで、接続希望者にはこの条件を受け入れてもらう。

1%未満の出力抑制で再エネ500万kWを追加接続

 稼働率が1%程度しか見込めない投資は常識的にはあり得ない。しかし、送電線の場合は違っていた。

 これまでのルールだと瞬間的にでも容量を上回る可能性があれれば空容量はゼロとなり、接続するには送電線の新規あるいは増強工事が必要とされた。新方式を公表した5月以前は千葉のケースでも、11~13年の工期と800~1300億円の工事費負担を接続申し込み者に提示していた。

 これに対し今回、東電PGが新たに示した接続ルールの考え方は図1のようなものである。

年間1%の出力抑制で500万kWの新規接続が可能
図1●東電方式適用後の想定潮流(出所:東京電力パワーグリッドの資料を著者が一部加工)

 図1の左側は、千葉方面で発電された電気を他方面へ送電する主要幹線である佐京連系について、1年間に流れる電力量を1時間ごとに計算した「実潮流」について、大きい順番に左から右へ並べたものだ。「デュレーションカーブ」(年負荷持続曲線)と呼ばれる。

 下方に位置する点線のカーブは再エネなどの追加接続前の状況を表しており、左上でごくわずかに送電容量を上回っている。ゆえにこれまでは「空き容量ゼロ」と判定され、接続できないと判断された。実線は500万kWを追加接続した場合で、点線より少し上方に移動するが、それでも容量が超過する時間は年間の1%以内にとどまる。

 同社は月ごとに時系列に沿った潮流の変化を図示しているが、図1では容量超過が最も多い1月(右下)と最大需要発生月である8月(右上)を取り上げた。赤線が送電容量の上限である。これを超える瞬間の超過出力分を新たに接続した事業者に抑制してもらうことになる。

 このように東電の新たな運用ルールは日本では革命的とも言える効果を生む。従来ルールと何が違うのか。

 第1に将来潮流を予想する際に最も流れが大きくなる「最過酷断面」で判断するのではなく、時々刻々の潮流を予測したうえで時々刻々の送電線利用を判断する。

 第2に平常時の「出力抑制(混雑管理)」に踏み切ることである。

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