再生可能エネルギーを固定価格で買い取るFIT(固定価格買取制度)から、市場価格に連動した補填を受け取るFIP(Feed in Premium:プレミアム制度)への移行を検討する議論が進んでいる。本家ドイツと比べて、日本は準備不足の嫌いがある。

(出所:PIXTA)

 図1は資源エネルギー庁が10月15日に開催した「再エネ主力電源化制度改革小委員会」で提示したFIP制度の概要だ。この制度の下では再エネ事業者は自身で市場に再エネ電力を市場価格で販売する。これに政府が適正利潤を織り込んだ「プレミアム」(*1)を再エネ事業者に補填する。つまり、再エネ事業者の収入は市場価格とプレミアムの2つの要素で決まる。

適正利潤を織り込んだ「プレミアム」を政府が補てん
図1●FIP制度の概要(出所:資源エネルギー庁)


*1:政府があらかじめ決めた固定の基準価格(FIP価格)と、参照価格(市場価格あるいは一定期間の平均市場価格)との差額でプレミアムは算定される。参照価格が市場価格の場合はプレミアムが変動するため「変動FIP」といい、収入は基準価格に固定される。一方、プレミアムを固定する手法を「固定FIP」と呼び、この場合、市場価格の変動に合わせて再エネ事業者の収入も変動する。再エネ事業者から見たとき、変動FIPは収入が安定し、固定FIPは収入が変動する市場価格の影響を受ける。ドイツの場合、1カ月の平均市場価格を参照価格としており、長期では変動FIPだが、1カ月単位で見ると固定FIPになる。短期的な市場価格の変動を意識した取引を再エネ事業者に促す効果がある。

 FIPの目的は「市場統合」だと、前回記事(「FITからFIPへ、再エネ新制度で何が変わる?」)で解説した。

 市場競争から隔離することで投資を促進するFITは、再エネ拡大には大きな効果があった。しかし、市場リスクを負わない電源が増えれば電力市場の歪みも大きくなる。とはいえ、いきなりFITをやめて他の電源とまともに競争しても、まだ再エネ電源は生き残れる段階にない。将来の本格統合を目指して、再エネ事業者に徐々に市場に慣れてもらうための制度がFIPである。

 FIPはドイツの制度を参照している。ドイツはFIPへの移行を非常に慎重に進めてきた。再エネの普及を止めてしまっては、元も子もないからだ。

 一方、本家ドイツに比べて、日本のFIP移行の議論はやや拙速感が否めない。

太陽光以外は普及が遅れる日本の再エネ

 日本でFITが始まったのは2012年7月である。

 直前の2010年の発電電力量に占める再エネの比率は9.5%。うち、従来型水力を除くと2%に過ぎなかった。

 FIT導入以降、太陽光を中心に再エネ比率は着実に上昇し、2018年度は17%まで上昇した。その中身は水力8%、太陽光6%、バイオマス2%、風力1%である。水力を除いても9%にまで増えた。

FIT以降、再エネは順調に増えているが・・・
グラフ1●国内の発電電力量に占める再エネ比率の推移(出所:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」)

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