2019年も残すところわずかとなった。今年は元号変更、新天皇即位やラグビーワールドカップなど明るい話題があった一方、台風15号及び19号がもたらした甚大な被害など気候変動を考える年でもあった。小売全面自由化から4年目を迎えた電力業界では、制度の新設・見直しに関する様々な議論が繰り広げられている。今回は、2019年の制度設計議論を振り返り、2020年以降に新電力含む小売事業者が取り組むべき論点を整理する。

 まずは、2019年の電力制度設計議論の全体像をみていただきたい(表1)。2019年以前に方向性が決まった論点も含めると、新電力の事業運営に関わる主な制度や施策はこんなにもある。2020年度以降に始まる施策や、検討中の施策が目白押しであることがわかるだろう。

表1●2019年に行われた主な電力制度議論
(出所:著者作成)

 小売全面自由化から4年が経過したが、いまなお電力システム改革は進行中だ。大量の論点があるが、1つひとつの制度や施策だけを近視眼的に見るのではなく、時系列で縦横の関係を把握し、事業運営上、必要なリスクヘッジやシステム・オペレーションの改修といった対応を事前に準備しておくことが欠かせない。

 例えば、新しいインバランス料金制度は、2022年度以降に需給調整市場の調整力コストを参考にしたインバランス料金単価へと変更し、需給ひっ迫時には価格が高騰する仕組みに変わる。

 インバランスコストが高騰するおそれもあり、新電力各社は料金設計に懸念を示しているが、そのためのヘッジ手段としてベースロード電源市場や先物市場、時間前市場などの既存の市場を活用して一定程度の供給力をあらかじめ押さえることや、DR(デマンドレスポンス)を活用した需要調整などの方策を施行しておけば、需給ひっ迫に備えることができる。

 もちろん、各市場が万能に使えるとは限らないため、使い勝手の悪い部分、機能していない部分は、事業者側が具体的な意見を挙げていく必要がある。そして政府には、電力ビジネスの健全な成長に資するよう、柔軟な制度見直しをお願いしたい。

電力取引の関連性を把握しておこう

 新制度は、エネ庁などの委員会で内容が確定したからといって、すぐに始まるわけではない。特に電力取引に関する制度設計はリードタイムが長めだ。システム開発や入札、事業者間協議などを経て実施される。

 例えば、容量市場は発電事業者を対象としたメインオークションが2020年度夏季に行われる予定だが、小売事業者が拠出金を実際に支払うのは4年後の2024年度である。その間に、発電事業者と小売事業者は卸供給契約の価格条件に容量市場収入分の反映について協議しておく必要がある。詳細は後述するが、託送料金制度の見直しに伴って導入される「発電側基本料金」でも、発電事 業者と小売事業者の調整が必要だ。

 制度設計の方針決定から取引開始までに事業者間で卸供給契約条件を調整しなければならなくなるため、「いつ、何が始まり、何を調整しなければならないか」を発電側も小売側も腹を割って誠実に協議し、取引開始までに条件を固めなければならない。事業者には、今から関係を整理・把握し、心構えをしておくことをお薦めする。

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