最新刊!『世界水素ビジネス 全体動向編』
国内サプライチェーンを想定したコスト試算から普及シナリオを作成。欧⽶豪の企業やプロジェクトを徹底取材し、中国については現地有力シンクタンクとの共同研究を実施。水素利用への世界の本気度が分かる必読レポート。「特別編集版」を無料ダウンロードはこちらから

 最近、水素エネルギーに関する話題が増えている。新型コロナウイルスの影響で開催が延期されたが、東京オリンピック・パラリンピックは随所で水素エネルギーを活用する計画だ。東京五輪を契機に水素社会へドライブかかるのではという声もある。他方、水素懐疑派の意見は根強い。水素を取り巻く事業環境の「今」を読み解いてみたい。

3月7日に開催した福島県浪江町「福島水素エネルギー研究フィールド」の開所式には安倍首相らが出席した
(出所:首相官邸ホームページ)

 日本政府は水素エネルギーの政策支援に積極的であり、2020年度の水素関連予算は初めて700億円(前年比16%増)に達した。燃料電池車の購入補助や水素ステーションの整備補助、水素サプライチェーン構築の実証事業や研究開発など支援メニューが目白押しである。

 2019年9月には、日本が議長国を務めた「水素閣僚会議」が2018年に続いて東京で開催され、世界35の国や地域、機関から約600人の関係者が参集した。政府は世界に向けた情報発信にも余念がない。

 水素エネルギーの活用は、2020年夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックの目玉テーマの1つでもある。聖火台の燃料として大会史上初めて水素を使用することになっていた。

 3月7日には、世界最大級の水素製造拠点が福島県浪江町で開所した。ここで太陽光発電による電力を使って、水を電気分解することで水素を製造し、東京都内に輸送する。選手村周辺に水素ステーションを整備し、トヨタ自動車が提供する燃料電池車や燃料電池バスの燃料として使用する計画である。

 民間でも、水素エネルギーへの取り組みが目立ってきた。2020年1月に、ホンダといすゞは燃料電池トラックの共同開発を発表した。高圧水素を封入する蓄圧器や、高性能な水電解装置など水素供給インフラ分野での技術開発に取り組む企業も多い。

 海外に目を向けると、水素社会へのシフトはさらに顕著である。欧州では、2018年に多くのEU加盟国が賛同した水素イニシアティブに基づき、貯蔵、輸送、原料利用など水素に関する総合的な取り組みにいち早く着手している。

 中国では、中央政府と主要な地方都市の双方において、トラックやバスを含む燃料電池車の野心的な導入目標を提示している。米国ではカリフォルニア州が中心で、モビリティでの水素活用が進んでおり、なかでも燃料電池フォークリフトは2万台を越える普及台数といわれている。

 「水素エネルギーの普及は離陸段階に達し、東京オリンピック・パラリンピックを契機に本格的な水素社会が到来する」。こんなシナリオが熱く語られ始めている。

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