新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。世界各国で感染者が増加し、経済活動が停止している。これに呼応して原油価格は急落。ついに米国のシェール企業が破綻した。だが、シェール開発会社を取り巻く事業環境の悪化は、コロナだけが原因ではない。

(出所:Adobe Astock)

 新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、4月1日、米国の大手シェール企業ホワイティング社が、テキサス州南部地区の破産裁判所に「米連邦破産法11条」(いわゆるチャプターイレブン)を申請し、ニューヨーク証券取引所の株式の取引を一時停止すると発表した。急落する原油価格の影響で破産した中堅シェール企業の第1号となった。

 ホワイティング社は、ノースダコタ州のバッケン鉱区でかつて最大のシェールオイル生産業者だったが、生産量の低迷などで業績が悪化。時価総額はピーク時の2011年の150億ドルから3200万ドルに急減した。

 2019年には従業員の3分の1を解雇し、事業の立て直しを図っていたが、今回の原油価格の急落には耐えられなかった。破産に際し、約22億ドルの債務削減を新株との交換などを条件に債権者と合意。今後もこれまで通りの操業を続けるとしている。

 実は、同社は5年前の原油価格低迷期にも破綻の危機に陥り、一時は身売りを発表したこともある。ところが、当時は超金融緩和時代で資本市場の投資意欲が強かったことから方針を転換。株式と転換社債の発行により資金調達を行い、事業を継続してきた。

 しかし、今回の危機は同じように切り抜けることはできなかった。原油価格が極めて低水準にあるという理由もあるが、もう1つの背景は資本市場のシェール事業に対する見方が、5年前とは大きく変わってしまっているからである。

 シェールといえば、米国をサウジアラビアを超える世界最大の産油国にのし上がらせ、さらに発展を続けているというイケイケドンドンの状況で、今回の原油価格下落が冷水を浴びせたと考えている人が多いかもしれない。だが、実際には2018年秋頃から既に資本市場はシェール企業から引き上げ始めており、資金調達が難しい状況が続いていた。

 かつてジャンク債などのリスクマネーがシェール開発に注ぎ込まれたが、2015年頃の原油価格下落でシェールバブルが弾け、170社以上のシェール関連企業(生産者および掘削会社など)が破綻。資本市場のシェール開発ビジネスに対する警戒心が強くなり、たとえ原油価格が上昇しても投資が付かなくなっていた。

 加えて、頼みの綱だったパーミヤン鉱区など一部の優良案件の生産性向上が頭打ちとなりつつあり、投資家の期待感は低下。シェール企業の資金繰りは悪化の一途をたどっていた。既に一昨年に28社、昨年は50社程のシェール関連企業が破綻している。そこに原油価格の“崩壊”とも呼べる下落がトドメを刺した格好だ。

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