電気料金は分かりにくいーー。大半の需要家はそう感じているのはないでしょうか。実際のところ、日本の電気料金は複雑怪奇。その仕組みを理解するのは簡単ではありません。なぜ、これほどまでに複雑になってしまったのか。新型コロナウイルスに伴う経済の低迷でコスト削減意識が高まる今、新電力は電気料金をどう設計すべきなのでしょうか。ビジネスデザイン研究所の久保欣也社長に解説してもらいました。

(Adobe Stock)

 新型コロナの影響で、多くの企業でコスト削減が至上命題になっています。緊急事態宣言により面会での商談や商品サンプルでのテスト導入などができない中、テレワークでも着手できるコスト削減策として、電気料金やガス料金に行き着く企業も少なくありません。

 また、家庭においても、在宅勤務や外出自粛によって電気料金が高くなっており、電気の切り替えが再び注目を集め始めつつあります。

 今の状況は、電気事業者にとっては裾野が広がる大チャンス。このタイミングに、これまでの業界慣習をリセットして、電気料金を設計し直したり、リブランディングに取り組んでみてはどうでしょうか。

 電力が自由化されてから、高圧は20年、低圧で4年が経過していますが、日本の電気料金の設計はお世辞にも洗練されていると言えません。 

 資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会は隔月で「電力・ガス小売自由化の進捗状況について」という資料を公表しています。この資料は、エネ庁が定めたモニタリング項目に沿って、自由化の進捗状況を評価しています。

 「料金メニューの多様化」というモニタリング項目があるのですが、エネ庁の評価は「完全従量型や市場連動型などの新しい料金メニューも提供されるようになったが、まだ極めて限定的」というものです。

 セット割引やキャッシュバックなどの販促メニューなどは存在するものの、そもそもの料金メニュー自体が電力業界の慣習から抜け切れないのが実態なのです。

料金メニューが分かりにくい

 はっきり言います。日本の電気料金メニューは複雑怪奇です。「分かりにくい」と感じているユーザーがほとんどでしょう。電力を専門としている筆者でさえ、たまに料金計算ができない超複雑な透明性に欠ける料金メニューに出くわすことがあります。

 例えば、ある大手電力では、「業務用休日プラン」で土曜日を休日として扱い、「業務用季時別プラン」では土曜日を平日として扱っています。同じ電力会社なのに、土曜日の扱い方が異なるのです。

 また、多くのエリアの大手電力が用意している「業務用季時別プラン」に関しても、同じような分かりにくい点があります。「昼間」は8~22時、「夜間」は22時~翌8時で区分するのが原則なのですが、日曜と祝日は昼間の時間帯であっても終日「夜間」に区分しているのです。

 契約書も難解です。電力会社と契約する際、締結する契約書は1本と考えるのが普通でしょう。しかし、そうではありません。ベースの契約書に、大口割引や長期割引など割引ごとの契約書がバラバラと存在するのです。1つひとつの契約書を見ても、何の契約書なのかが分からないこともしばしばです。

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