新型コロナウイルスが世界各国で生活様式を変え、経済活動は大きな制約にさらされている。エネルギーに関しても歴史的な需要減少と価格低下が起きている。今回は、新型コロナがエネルギー情勢にどのような影響を及ぼしているのかを、世界エネルギー機関(IEA)の最新レポートと、ドイツの実績値を基に検証する。

(Adobe Stock)

 世界エネルギー機関(IEA)は4月30日、新型コロナウイルスがエネルギー情勢に及ぼす影響について分析したレポート「Global Energy Review 2020  -The impacts of the Covid-19 crisis on global energy demand and CO2 emissions-」を発表した。このレポートで扱っているデータは、2020年1~4月半ばまでの14週間の実績、そして2020年の予想である。

 先進国で都市封鎖が急増した2020年頭から14週間で起きたことは、まずエネルギー需要のかつてない急減だ。なかでも化石燃料の減少が顕著だった。他方、原子力は小幅の減少にとどまり、再生可能エネルギーは増加傾向を維持している。その結果、エネルギー由来のCO2排出量が劇的に減少している。

 まず、新型コロナの封じ込み対策時の影響を見てみよう。図1は、都市閉鎖(ロックダウン)などの対策を講じた場合に、その後1週間でどのくらい最終エネルギー需要が減少したかを示したものである。部分的なロックダウンの場合は17%の減少、完全なるロックダウンでは25%も減っている。ロックダウンを1カ月継続した場合は、それぞれ年間でさらに1.5%ずつ減少すると予想している。

図1●ロックダウンなどの新型コロナウイルス封じ込み対策がエネルギー需要に及ぼす影響(措置後1週間の減少率)

 図2は、2020年1月から14週間の中国、米国、EU、インドの発電電力量の電源別構成比の推移である。ロックダウンに入ると、再エネ比率が増加し、原子力は横ばい、もしくは増加している。そして石炭と天然ガスが減少するという傾向が各国で顕著に表れている。なお、中国以外は7月に入ってもロックダウンを継続している。

 IEAは、新型コロナの封じ込め対策が徐々に解除され、経済活動が当初の14週間に比べれば持ち直すものの、年間としてはマイナスになる前提で2020年を予想している。それでも2020年末まで、エネルギーについては当初14週間の傾向が続くとして試算している。

図2●主要国の電力構成比の推移(2020年当初14週間)

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