再生可能エネルギーの普及促進策が変わる。2021年にも始まるFIP(フィード・イン・プレミアム)とはどのような制度か。そして、リスクや収益はどう変わるのか。新制度を理解し、果敢に挑戦する事業者の登場が、将来にわたる再エネの普及には欠かせない。

(出所:Adobe stock)

 再生可能エネルギーの主力電源化と市場統合を目的としたFIP(Feed-in Premium)制度の詳細設計が始まった。

 FIPは買取価格を市場に連動させ、市場や相対取引など発電事業者自身が売電先を決める制度だ。一定期間(例えば20年間)、優遇された価格で売電できるという骨格はFIT(固定価格買取制度)と似た制度と言えるが、異なる点も少なくない。

 早ければ2021年にもFIPは導入される。FITとの違いを理解し、いかに前向きに対応していくかが、今後、新たに生まれるFIP事業の成否を決めることになる。

 まず、FIP事業で得られる収入のタイプが、事業者の「スキル」の違いで異なってくる。

 8月31日に開催された第19回「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」(再エネ大量導入小委)では、資源エネルギー庁からFIPに直接関係する11の論点と、FIPのアグリゲーションに関する2つの論点が提示された。

 ここでは、そのうち「基準価格(FIP価格)及び交付期間(論点3)」「卸電力取引市場の価格の参照方法(論点4)」「卸電力取引市場以外の価値の取扱い(論点5)」の3つの論点に着目し、FIP事業者が抱えるリスクや新たな機会、そして望ましい制度上の工夫などについて論じてみたい。

買取価格は市場価格にプレミアムを上乗せ

 FIPでは決められた一定の期間、プレミアム(上乗せ)価格が支払われる。8月31日の再エネ大量導入小委では、交付期間はFITと同じ、例えば大規模太陽光では20年とすることが合意された(正式には調達価格等算定委員会で審議する)。

市場参照期間ごとに変動するプレミアム価格を市場価格に上乗せ
図1●FIP基準価格・参照価格・プレミアム単価のイメージ(出所:資源エネルギー庁)

 そのうえで、交付期間の20年間を通じた固定価格である「基準価格(FIP価格)」を決定する(例えば12円/kWh)。そして、「市場参照期間」を定め(仮に1カ月とする)、その参照期間における日本卸電力取引所(JEPX)の平均価格を「参照価格」として設定する(例えば5円/kWh)。

 この基準価格12円/kWhと参照価格5円/kWhの差額が「プレミアム単価」で7円/kWhとなる。よって、30分コマごとに決まる市場価格が例えば9円/kWhであれば、これにプレミアム単価7円/kWhをプラスした16円/kWhがFIP事業者のそのコマにおける売電収入となる。

 市場価格は常に変動するので、これに応じて毎月、参照価格も変動する。結果として、プレミアム単価も参照期間ごとに変動する。FITと異なり、市場価格の変動性に一定程度さらされることがFIPの最大の特徴であり、売電収入が変動することがFITにはない大きなリスクとなる。

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