FIT(固定価格買取制度)に代わる再生可能エネルギーの新たな支援策、FIP(フィード・イン・プレミアム)の詳細設計が大詰めを迎える。再エネの市場統合を目指すFIP制度では、再エネ電源にも他の電源と同様に同時同量が求められる。だらかこそ、その役割を担う「アグリゲーター」の成長を促す制度設計が欠かせない。

(出所:Adobe Stock)

 再生可能エネルギーの新制度、FIP(フィード・イン・プレミアム)の詳細設計に関する議論がヤマ場を迎えている。

 10月9日開催の第20回「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」(再エネ大量導入小委)までに、資源エネルギー庁からFIP詳細設計に関する論点が網羅的に提示された。

 しかし、現時点では事業者にとって最大の関心事であるFIPプレミアム単価の算定方法について未確定の論点がいくつか残されている。今回は「スキルの高いFIP事業者の育成が再エネの未来を拓く」に続いて、FIP制度が再エネの主力電源化を後押しするために必要な要件について別の視点から考えてみたい。

 FIPは再エネ電源の「発電」に関する支援策なので、発電に関する観点を中心に議論することはある意味、当然ではある。しかしながら、FIP電源を「市場統合」するという観点では、FIP電源を取り巻く様々なプレーヤーの観点から制度設計を進めることも有益だ。

 その意味で、新制度で特に重要なプレーヤーになると想定されるのが、複数の発電所のFIP電気を集めて取りまとめるアグリゲーターの存在だ。

集めたFIP電気をまとめて需給管理

 FIPがFIT(固定価格買取制度)と大きく異なるのは、他の電源と同様に、計画値同時同量すなわち需給管理を求められるところにある。

 アグリゲーターに期待される最大の役割は需給管理の効率化だ。太陽光や風力といった変動電源は、発電所単位よりも、複数の発電所をまとめて大規模に需給管理を行うことで、インバランスの発生量を抑え、バランシングコストを下げることが可能となる。

 FIP電源にとって、アグリゲーターは個々のFIP事業者に不可欠な相棒であるとともに、電力システム全体で見たときも、再エネ大量導入において車の両輪のような存在になると筆者は考えている(ここで言うアグリゲーターは、専業の特定卸供給事業者だけでなく、アグリゲーションを兼業する小売電気事業者を含む)。

 つまり、新たなFIP制度のもとで「発電事業者がいかに適正に儲かる発電所を作ることができるか」という観点と同様に、「アグリゲーターにとっていかに魅力的な電力となるか」という観点も、FIP詳細設計において欠かすことの出来ない要素だ。

 ここで言う「魅力」とは経済的利得のことだ。

 FIP電気の買い手でもあるアグリゲーターに何らかの「ボーナス」が与えられるならば、「買い手プル」の力によって、再エネ電源の普及が加速する可能性もある。この点でも作り手(売り手)プッシュのFITとは普及のメカニズムが異なってくる。

 前回記事「スキルの高いFIP事業者の育成が再エネの未来を拓く」で、FIP電源には環境価値や調整力など従来のエネルギー取引(kWh)以外の収入源が存在すると述べたが、ここではFIP電源の収入の中心であるkWh価値の販売収入に着目する。

 FIP制度における発電事業者の収入は、「相対取引やJEPXでの売電収入」と、図1の「プレミアム(供給促進交付金)」の合計金額になる。

プレミアム単価の設定が再エネの需給管理促進の鍵
図1●FIP基準価格・参照価格・プレミアム単価のイメージ(出所:資源エネルギー庁)

 「基準価格(FIP価格)」は、入札もしくは調達価格等算定委員会の算定により、一定期間(例えば20年間)固定される。

 「参照価格」は、後述する一定のルールに基づき算定される。参照価格は市場参照期間(現時点のエネ庁案では1カ月)ごとに変動する。

 「プレミアム単価」は基準価格(FIP価格)と参照価格の差額として導出される。

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