7月20日開催「再エネ電力への切り替えを成功させる秘訣 ~先行事例に学ぶ、スキーム別ポイント解説とコスト試算~」
コーポレートPPAに自己託送、非化石証書に卒FIT・・再エネ電力の導入手法の全体像と各スキームの特徴を学ぶとともに、先行企業の事例を元に各導入スキームのコストイメージをお見せします。対外公表時の表示ルールなど実務ポイントも解説。詳細・申し込みはこちら

 再エネ電力への切り替えを実行した企業の実例から、具体的な手法や成功のポイントを紹介する連載。第2回で取り上げるのは、コストアップを押さえて主要拠点を再エネに切り替えた売上高50億円の印刷事業をてがける中小企業K社です。
 再エネ電力の切り替えは「優秀な若者の採用につながる」と語る社長。なぜK社は再エネ電力の切り替えに踏み切ったのでしょうか。

(出所:123RF)

 印刷業界はデジタル化の波で淘汰が進んでいます。中部地区で印刷事業を営む中小企業のK社は、経営の行き詰まった同業者をM&A(買収・合併)によって傘下に収め、経営を立て直すことで成長しています。

 印刷業界全体の衰退などを背景に、K社の社長の関心は持続的な経営の継続と地域貢献に向かっています。どちらかというと古いイメージのある印刷会社。社長には、先進的な取り組みでイメージアップを図り、地域から注目される会社でありたいという想いがあったのです。

 社会が求める環境配慮の重要性も認識しており、再エネ電力にもかねて関心を持っていました。事業所の屋根には太陽光パネルを設置。大規模太陽光発電所(メガソーラー)も保有しています。

 ただ、メガソーラーの所有は投資としてメリットを感じていたものの、印刷事業の運営に直接関係する取り組みとは説明しにくいと考えていました。印刷工場を複数持つ同社は電力の使用量が多く、電気料金は年間2000万円にのぼります。これを再エネ電力に切り替えようと思いついた社長は、早速、総務部長に検討を指示しました。

電力契約の抜本的な見直しに初めて取り組んだ

 K社はこれまで、電力契約の抜本的な見直しはしてきませんでした。一部の拠点は、取引先に頼まれて新電力に契約を切り替えたことがありましたが、大半の拠点で長年付き合いのある大手電力会社との契約を継続していました。

 「既存の電力契約を見直せば、コスト削減が可能なのではないか」。そう考えた社長は、全7拠点のうち5拠点の電力契約を新電力に切り替えるとともに、そのコスト削減分を原資に、残り2拠点に再エネを導入する方法を選択しました。

 数社の電力会社に見積もりを依頼すると、5拠点の電気料金は10%ダウン。金額にして年間150万円を削減できることが分かりました。

再エネ電力のプレミアムは5%程度

 その後、再エネ電力メニューを提供している電力会社3社に、見積もりを依頼しました。1社は再エネ電源を特定するメニュー、2社は非化石証書を使った再エネ電力メニューの提案でした。電源を特定するメニューは、他の提案よりも電気料金が年間10万円ほど高かったのですが、大きな差ではないと考え、電源特定メニューを選びました。

 ちなみに、電源特定メニューの金額は、もともと契約していた大手電力の料金と比べると、約5%程度低い水準でした。通常の電力調達を実施した6拠点のコスト削減が10%だったことから、再エネ電力に切り替えることによるプレミアムは5%程度であることが分かりました。

 再エネ電力に切り替えても、既存契約より安くなったことは、電力自由化による恩恵を知る予期せぬ出来事でした。結果として、コストダウンのメリットを取りつつ、2拠点に再エネ電力を適用することができたのです。

「優秀な若者の採用につながる」

 K社が選んだ電源は、自社と同じ中部地区の長野県にある小水力発電所の電力です。FIT電源である水力発電所による電力に、非化石証書を組み合わせた再エネ電力メニューです。

 社長は、再エネ電力利用のPR企画を若手社員に任せることにしました。ちょうど契約開始時期に小水力発電所の開所式が行われることを聞いた担当者は、開所式に出向いて送電開始のセレモニーを行うなど、積極的なPRを展開しました。その内容は地元の新聞にも取り上げられ、K社の環境への取り組みが地域で知られるようになりました。

 社長は、「このような活動が優秀な若者の採用につながる」と言います。若い人たちの「印刷業界は古くて、仕事はキツい」というイメージを払拭していく必要性を強く感じているからこそ、覚悟を持って地域貢献や環境への配慮、働きかた改革など、積極的な社会貢献活動を続けているのです。

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