電気料金は2割増し、安いか高いか

 電気料金は、ざくっと2割ほど割高になる。

 家庭向けの「アクアエナジー100」は、通常メニューの「スターンダードS」と電力量料金(従量料金)は同額だが、基本料金がほぼ倍額。30A契約で1カ月の使用電力量が300kWh程度の平均的な家庭の場合で、月額電気料金が約2割増しになる。東電EP商品開発室の尾崎晋作氏は、「消費者調査の結果から2割増しまでが許容範囲と考えた」と値付けの根拠を説明する。

 ただし、アクアエナジー100の料金は単価だけでは評価できない。日本で初めて、「燃料費調整額」を適用しないプランだからだ。

 電気料金には原油価格の変動が燃料費調整額として織り込まれている。原油価格が上昇すれば、自動的に電気料金は上昇する。「最近の原油価格の低迷によって、燃料費調整額は基準からマイナスの水準。今は料金面のメリットを感じられないかもしれないが、油価が上がれば、その分お得になる」(尾崎氏)。

 一方、法人向けの「アクアプレミアム」の場合は、もう少し複雑だ。水力発電の発電量は時間帯によらず、ほぼ一定であることから、電力需要のベース部分だけをアクアプレミアムで提供する。ピーク部分は東電EPの通常メニューを適用する。

ベース部分だけ水力発電による電力を供給
法人向けメニュー「アクアプレミアム」の仕組み

 法人向けは相対契約のため、標準的な料金単価などは公表していない。「電力量料金で1kWh当たり4~5円上乗せするイメージ」(出口マネージャー)という。

 この値付けに対して、「法人顧客からは『良い線を突いている』というお言葉をいただいた」と出口マネージャーは明かす。

 大手企業は環境報告書などを通じて、自社で購入した電力の排出係数を公表している。環境経営を標榜する企業にとって、排出量取引などの規制がなかったとしても、排出係数が増えることは避けたいものだ。特に、環境配慮型企業というイメージを消費者に訴求している企業にとっては、少々コストがかかったとしても、排出係数を下げ、説明しやすい対策を取ることが欠かせない。

 法対応のためだけに単純に排出係数を下げたいと考える企業にとっては、「箸にも棒にもかからない、ありえない価格」に映るようだ。もっと安価に排出係数を下げる手法は存在する。だが、「水力100%の電気を買っています」という説明は、消費者にアピールしやすい。一般に理解されやすい対策ほど高いコストを払う傾向がある。ブランディングやマーケティングに使えるからだ。こうした観点から、アクアプレミアムは「良い線」なのだろう。

 ちなみに、アクアプレミアムを採用している企業は現在、5社ほど。三菱地所の新丸の内ビルディングにソニーの本社ビルとソニーシティ大崎、キリンビール取手工場およびキリンビバレッジ湘南工場などが採用企業に名を連ねる。環境配慮型企業としてのイメージが強い、“いかにも”という企業が並ぶ。