ガスと電気にサービスを加えて成長を目指す
中期経営計画を発表する東京ガスの広瀬社長

 これまでの中計である「チャレンジ2020ビジョン」に掲げた2020年の供給ガス量は年間220億m3。そして、今回発表した「GPS2020」では、2020年度のガス取扱量を207億m3とした。

 つまり、自由化によって他社に奪われる託送分を考慮しても、東ガスが取り扱うガス量が減っている。その理由を問うと、「臨海部の工業エリアなどに競合が東ガスの導管を使わずに供給する、いわゆる『二重導管』による減少分がある。さらに需要開発がチャレンジ2020ビジョンの発表当時の想定に比べて進んでいないという点もある。業務用における都市ガスへの燃料転換が思わしくない」(東ガス)という答えが返ってきた。

 あえてガス取扱量という表現に切り替えたのは、「ガス全面自由化を迎えたので、営業戦略上、ガス販売量の中長期見通しを出すのは避けたいという思いがある」(東ガス)という。今後、東ガスが販売するガス量は、220億m3から207億m3というレベルの減少では収まらない可能性あるだろう。

 最も大きな影響を及ぼしそうなのが、超大口顧客の離脱である。既に、2件の離脱が顕在化している。1件目は、東ガスが都市ガスを卸供給していた日本ガス(ニチガス)傘下の中小都市ガス4社が、ガスの調達先を東電エナジーパートナー(EP)に切り替えたこと。これで、東ガスは年間30万世帯相当のガス販売量を失った。

 さらに、東京ガスにとって最大級の顧客である東京電力フュエル&パワー(F&P)の品川火力発電所が離脱することも明らかになった。品川火力向けの都市ガスは、東電F&PとJXTGエネルギー、大阪ガスの3社による新会社に奪われる。

 この3社は9月28日、共同出資会社である扇島都市ガス供給(川崎市)の設立を発表した。同社はLNG(液化天然ガス)を都市ガスとして販売できるように加工する「熱量調整設備」を共同で建設。2020年4月から都市ガス製造を開始する予定だ。合わせて、東電F&Pは、品川火力の燃料ガスの調達先を東ガスから新会社に切り替える方針を明らかにしている。

 品川火力は、二重導管の領域ではなく、東ガスの導管を使って都市ガスを燃料として購入している。このため、中計の「ガス取扱量」には品川火力による導管利用分は含まれている。ニチガス傘下の都市ガス4社への卸し分も同様だ。広瀬社長は「(品川火力の離脱は)まだ正式に話は来ていない」としながらも、「調達先を切り替えられたら、この量を取り戻すのは難しい」と話す。

 今後は、超大口顧客の離脱を何で埋めるかが問題になってくる。