新電力ベンチャーのLooop(東京都文京区)が、たて続けに仮想通貨の採掘(マイニング)に関する発表をしている。

 まず、9月27日に仮想通貨マイニング事業者向けの新電気料金プラン「マイニングフラット」を提供すると発表。そして、11月2日には仮想通貨取引所を運営するテックビューロ(大阪市)とマイニングソリューションを提供するクリプトマイニングジャパン(CMJ、大分県大分市)との3社で、マイニング事業に関する業務提携を発表した。

 なぜ、新電力ベンチャーのLooopがマイニングなのか。

 「新料金プランと業務提携は、セットで進めていた案件ではない。たまたまマイニング向けの新料金を発表したら、テックビューロの朝山貴生社長の目に止まり、そこからバタバタと提携話がまとまった」とLooop電力事業本部の小嶋祐輔本部長は経緯を明かす。

マイニング機器が架台になる?
Looopと仮想通貨ベンチャーが公表した太陽光パネル搭載マイニングコンテナのイメージ

 新料金プラン「マイニングフラット」は、家庭などでマイニングを手がける需要家を想定した低圧メニューだ。1kW相当(10Aまたは1kVA当たり)月額最低料金6170円を支払うと、毎月250kWhまでは定額となる。251kWh以上は、従量料金として22円/kWhが加算される。提供エリアは東京電力管内で、11月下旬から受付を開始する。

 かねて提供している低圧向け料金「Looopでんき」と比較すると、「30A契約で使用電力量が750kWh以下ならLooopでんきの方がお得だが、それ以上ならマイニングフラットの方が安価になる」(小嶋事業部長)。東京電力エナジーパートナー(EP)の従量電灯Bと比較すると、さらにお得だ。30Aで1000kWh使用した場合、マイニングフラットの方が月額16.9%安くなる計算だという。

マイニングの収支は電気料金が左右する

 ビットコインなどの仮想通貨は、銀行などを経由せずP2P(ピア・ツー・ピア)で取引を行う。暗号技術やブロックチェーンなどを使うことで不正を防ぎ、取引の信用を確保している。ブロックチェーンとは、すべての取引履歴を記録したもので、取引に関わるすべてのコンピュータで共有している。

 そして、取引を記録するためのブロックを生成する作業を「マイニング」と呼ぶ。ブロックチェーンは膨大なコンピュータ処理が必要なため、インターネットにつながる有志のコンピュータリソースをかき集め、分散処理している。自分のコンピュータで計算処理をすると、報酬として、新規発行した仮想通貨を得られる仕組みだ。

 マイニングで仮想通貨をより多く得るために、高性能なマイニング専用マシンに投資して計算処理を行う。つまり、マシンへの初期投資とランニングコストの電気代が、マイニングの収支を左右するわけだ。

 このため、マイニングに特化した専用マシンが登場、高性能化が進んでいる。専用マシンをズラリと並べ、大規模にマイニングを手がける事業者は、電気料金の安い中国などに集中している。

 電気料金が高い日本はマイニングの適地ではないと言われる。ただ、今後、仮想通貨の価値が上昇すれば、日本でのマイニングもやりようが出てくる。大規模なマイニングは多額の投資が必要なため、事業化は一部の企業に限られる。だが、個人なども含めて共同でマイニングを行う方法などもある。

 Looopのマイニングフラットは、マイニングでコンピュータをフル稼働させる、低圧ながら高負荷な需要家を想定したプランだ。小嶋本部長は、「100%に近い高負荷をイメージしている。電気料金が高額になる心配を少しでも減らそうと、22円/kWhにした。月額最低料金を設定することで、当社が提供可能なプランに設計した」と説明する。

 低圧の電気を使ってマイニングを手がける需要家は、さほど多くはないだろう。小嶋本部長も、「ニッチな料金プランで、契約数が大きく伸びるとは思っていない」と言う。だが、「新しいテクノロジーを支援するのが当社らしいと考えた」。

 Looopはマイニングフラットを発表した同日に、業務用エアコンやエレベーターなどで利用される低圧動力向けの「動力プラン」も発表している。小嶋本部長は、「動力プランの投入で一通りの電気料金メニューが出揃った。マイニングフラットは、Looopが新しいことに常に取り組む姿勢を示すメッセージでもある」と語る。

ブロックチェーンの電気事業での可能性を探る

 この料金プラン発表を契機にテックビューロとの接点ができたLooopは、マイニング事業者であるCMJも加えた3社での業務提携に踏み切った。発表文には、仮想通貨取引所を運営するテックビューロとマイニング機器周りの運用ノウハウを持つCMJと「国際競争力を有したマイニング事業に関する業務提携」とある。

 ただ、「Looopがマイニング事業に参画するかどうかは決めていない」と小嶋本部長は言う。現時点で決めているのは、テックビューロとCMJが国内で手がけるマイニング事業向けに電力を供給することだけだ。

 Looopの目的は、仮想通貨やブロックチェーンの動向を把握し、電気事業で活用する可能性を探るためだ。「業務提携を通じて分散型コンピューティングのノウハウをためて、VPP(仮想発電所)事業などにつなげていきたい」(小嶋本部長)という。

 今回、3社は太陽光発電を活用したマイニング事業用コンテナのイメージ図を公表した。コンテナの中にマイニング用マシンを詰め込み、電力は太陽光や外部電源から供給する。コンテナの屋根面積だと、10kWほどの太陽光パネルを搭載できる。

 「太陽光でマイニングに必要な電力を賄えるわけではない。むしろ、ソーラーシェアリングのように、コンテナ屋根上のスペースを太陽光発電に活用するイメージだ」(小嶋本部長)。コンテナは複数並べて、電力は高圧での供給を想定している。