市場取引はわずか3%、新規参入の足かせに

 JEPXは2000年の小売り部分自由化に伴い、新規参入を促し、自由化を促進する目的で2005年に設立された。卸電力市場の最大の問題は今日に至るまで取引量が少ないことだ。

 監視委員会のモニタリング調査によると、2016年10~12月の売り入札量は前年同期に比べて1.2倍、買い入札量は同1.6倍に増えている。売買の成立(約定量)は、36億kWhから57億kWhに増えた。全面自由化が取引量の増加をもたらしたのは間違いない。

 だが、それでも国内の電力消費量に占める電力市場のシェアはわずか3%に過ぎない。英国の50.7%、ドイツの50.1%、北欧(ノルドプール)の86.2%に比べて極端に少ないのが日本の電力市場の実態なのだ。

 電力市場の取引量を増やし、市場を活性化することは自由化促進に大きな意味がある。1つは発電事業の競争だ。

 地域独占下では、大手電力(旧一般電気事業者)が保有する電源はもっぱら大手電力各社の営業エリア内の需要のためだけに使われ、当然、そこに競争はなかった。これに対して卸電力市場には全国から電源が集まる。現在、売り入札(市場への電源拠出)の9割近くは大手電力9社によるものだが、市場では安い電源から落札されるため、ここでは競争原理が働く。

 もう1つは、小売電気事業者の新規参入を促す効果だ。

 国内の電力インフラの大部分は高度経済成長期に伸びる需要を満たすことを目的に、総括原価方式と地域独占を前提にした資金回収を保証する仕組みの中で建設されてきた。既に国内の電力需要を十分に満たすだけの電源は存在する。今後、電力需要は減少も見込まれており、新規の電源投資は回収が難しくなる。

 こうした環境下で、新規参入者と大手電力との競争条件を揃え、小売り競争を促すためには、市場を通した電力取引の活性化は欠かせない。既に投資された電源を有効活用し、電気料金を下げる観点からも重要なことだ。

 そのため、自由化で先行した欧米の国や地域では、規制当局がいずれも電力市場の活性化に力を入れてきた。海外でも多くの場合、電力会社は独占企業としてスタートし、競争政策の導入を契機に非独占企業への転換を迫られた。限られた事業者がすべての電源を保有する状況では自由化は進まない。だから、各国の規制当局は発電所の強制売却や、取引市場における取引を増やす施策を打ってきた。

電力市場は活性化が課題