全面自由化と同時に市場のひっ迫が始まった

 ここで、2016年度の卸電力市場を振り返っておこう。2016年度は売り入札量の不足により、想定以上に価格がつり上がる状態が恒常化していた。それを端的に物語っているのが次のグラフだ。

 グラフ1は東日本大震災以降、2012年4月からの夏のピーク時間帯(13~16時)の売り入札量と買い入札量、そして当該時間帯のシステム平均価格を重ねたものだ。

 これを見ると、2013年3月から始まった大手電力の「自主的取り組み」以降、それまで需要の8%を超えて待機させていた予備力が、実需給の1日前に取引される卸電力市場に売り投入されることとなり、飛躍的に売り入札量が伸びた。

全面自由化を機に売り入札量が激減
グラフ1●夏のピーク時間帯(13~16時)の売り・買い入札量の推移[2012年4月~2017年6月](出所:日経エネルギーNext電力研究会)

 この状態は2016年3月まで続いた。現行のインバランス制度は、2016年4月から始まった新たな同時同量制度(計画値同時同量)に合わせて導入されたが、それは恒常的に売り入札量が買い入札量を大幅に上回っていたそれまでの状況を前提に設計されたものなのである。
 
 ところが、全面自由化が始まった2016年4月から卸電力市場の様相は一変した。とりわけ、夏場の13~16時は買い入札量が売り入札量を上回る事態が頻出した様子がこのグラフに如実に現れている。

 背景にはいくつかの要因がある。1つは、新電力の旺盛な買い需要だ。全面自由化を機に新規参入者が急増した。今日までに登録された小売電気事業者は400社以上を数える。新規参入組には自前の電源を持たない新電力も多い。それらが常時バックアップと卸電力市場からの調達をテコにビジネスを開始したことが卸電力市場における買い需要の増加につながった。

 だが、それだけではグラフ1は説明できない。買い入札量が増えただけでなく、売り入札量自体が明らかに急減している。