大手電力の「絶対に負けない戦略」

 これとは対照的に関西電力の拠点である関西エリアは、11月以降も予備率が15%を超える状況が一向に改まっていない。

 12月に入って予備率が急低下しているが、これは本格的な冬の寒気(例年なら1月下旬の水準)が入ってきて、需要が急伸したことが主な理由だ。気温が下がっても関西エリアで供給力は目立って増加しておらず、従って市場投入量も増えていない。

予備率も高止まり
関西エリアの予備率予想の推移

 10月、関電は中部電力とともに過剰な予備力確保が監視委員会から指摘された。それを契機に監視委員会は新ルールを導入した。

 だが、データを見る限り、関電は新ルールの精神をくんでスポット市場に十分な予備力を供出する施策を未だ実施していない可能性が高い。

 加えて、市場関係者の間では「関電は市場への玉出しを増やしていないだけでなく、市場から調達する量を増やしている」とも言われている。供給力の大部分を握っている大手電力にとって、安い価格で市場から調達できる際には、自社電源を止めて市場調達に振り替えるというやり方は、いわば「絶対に負けない戦略」である。

 西日本エリアの価格に大きな影響力を持つのが関電と中部電の2社だ。

 ちなみに、2017年4月以降、予備率が15~20%と高かった中部エリアは、新ルールが適用された11月以降は減っている。中部電は新ルールに従っている模様だ。今回の西日本エリアの価格上昇は関電の入札行動に起因していると見ていいのではないか。

中部電は新ルールを守っている模様
中部エリアの予備率予想の推移

 一部の事業者の振舞いで、市場の価格水準が揺さぶられるような実態をどう考えたらいいのか。市場参加者は目に見えないリスクと戦わざるを得ない状況が続いている。

 これまでも指摘してきた通り、透明度の高い情報公開と厳格な監督行政は、市場活性化や自由化には絶対に必要なことだ。まして、新ルールが導入されたばかりの今は、その真価が問われるタイミングだ。

 いずれにせよ、西日本の電力価格が異常なのは明らかである。監視委員会には急ぎ事態を究明し、早急に対応をとることを求めたい。