【質問3】大手電力・ガス会社などから卸供給を受ける以外に、ガス調達の選択肢はないのでしょうか。「ワンタッチ供給」という方法があると聞いたことがあります。

【回答3】ワンタッチ供給は、ガス小売りへの新規参入を促進するという観点から、ガス小売事業者に認められている供給方法です。ガス小売事業者が家庭などの需要場所で卸事業者から卸供給を受け、その場で小売供給を行ったと見なす取引手法のことで、実態として小売事業者はガスに触りません。

 ガス小売事業者は原則として、一般導管事業者と「託送供給契約」を締結します。顧客にガスを送るために、導管を使用するのに必要な契約です。安全確保の観点から導管圧力を一定範囲内に収めるために、事業者ごとにあらかじめ払出計画を作成・提出します。一般導管事業者は払出計画に基づき、ガス小売事業者に1時間単位の注入計画を割り当てます。ガス小売事業者は、この計画に沿ってガスを注入する「同時同量」が義務づけられているのです。

 ですが、同時同量はガス事業特有の技術とノウハウを要する作業で、新たにガス販売を検討する事業者にとって、参入障壁になりうるものです。この点で、ワンタッチ供給を活用すれば、事実上、同時同量を卸事業者に任せることができるのです。

 仕組みはこうです。まず、ガス小売事業者は一般ガス導管事業者と託送供給契約を締結せず、卸事業者がガス小売事業者に代わって締結します。そのうえで、託送供給契約に基づき契約者に求められる日々のガスの「払出計画」の作成などの業務は、卸事業者の責任で対応します。

ワンタッチ供給を使えば事実上、同時同量を卸事業者に委ねられる
出所:電力・ガス取引監視等委員会 制度設計専門会合

 なお、ワンタッチ供給は、新規参入促進の観点からガス事業に限って認められているものです。電気の場合、託送供給契約の締結義務は小売電気事業者に課されています。ワンタッチ供給に相当する例外は認められておらず、同時同量の義務も小売電気事業者が負っています(同時同量に関する業務の外部委託は認められています)。