とはいえ、FIT認定を受けただけでは十分な価値があるとは言えません。特定契約の際に適用される買取価格は、FIT認定だけでは定まらないからです。個別の案件に適用される買取価格は、FIT認定の時期と「接続契約」の申し込み(2015年4月以降の太陽光案件は接続契約の締結)の時期によって決まるため、接続契約の申込時期・締結時期が非常に重要です。また、FIT法改正前の設備認定は、2017年4月1日時点で接続契約が締結されていない場合、原則として失効していますので、この点からも接続契約の締結は重要です。

 こうした理由から、FIT権利の本質は「FIT認定」と「接続契約」にあると言えるわけです。

 なお、FIT認定を受ける前提として、所有権や地上権、賃借権などによる土地の利用権も必要です。FIT認定と土地利用権はセットと考えて良いでしょう。

 「FIT権利」の売買取引では土地利用権も同時に売買の対象に含まれていることも多々あります。土地の権利関係が明確で、地代など土地利用の契約条件が魅力的であれば、これもFIT権利の価値を高める1つの要素となります。

【質問3】FIT権利が、法律上の権利として定められたものではないとすると、財産権として保障されないのではないかと心配になります。

【回答3】確かにFIT権利は、法律上は権利としては規定されていません。ただし、財産的な価値に着目すれば、憲法上の財産権として保障されると考えられます。

 前述のとおり、FIT認定を受け、接続契約を締結すれば、一定の価格で所定の期間に渡っての売電が制度上保障され、発電事業者は、売却する電気の価格変動リスクや需要量のリスクを負わないことになりますので、FIT認定は財産的価値を帯びることになります。適用される出力抑制のルールが有利であれば、その点も財産的な価値を高める要素となるでしょう。

 例えば、政府が不合理にFIT認定を失効させる制度を導入すれば、その制度は国民の財産権を保障した憲法29条に違反することになるでしょう。

 今年4月に施行された改正FIT法は、旧FIT法が認定(設備認定)した案件の失効を定めました。ただし、運転開始済み、もしくは接続契約が締結済みの案件は失効の対象外です。また、改正FIT法の施行前6カ月以内にFIT認定を得た案件は、接続契約締結完了までに9カ月の猶予期間を設けています。いずれも、FIT認定に係る権益の財産的価値を不合理に奪うことのないよう配慮しています。

 このような配慮がなされていることからも、FIT権利は財産権として認められていると言えるでしょう。