【質問5】政府の今後の再エネ政策を見通すうえ、今回の制度改正は何か示唆しているのでしょうか。

【回答5】事後的過積載を規制することの正当性の根拠として、政府は「国民負担」という言葉を使っています。FIT制度は再エネ賦課金を通じて電気の最終需要家が支えています。制度を経済的に支える国民の理解が、FIT制度の存続の上で不可欠です。

 事後的過積載の問題は、FIT買取期間の最大20年間にわたり、太陽光発電の再エネ賦課金の金額に影響するものであり、早急な対応が必要でした。今回の制度変更は、「FIT制度を支える国民の経済的負担を無視できない」という姿勢を政府が改めて示したと言えるでしょう。

 この「国民負担」というキーワードに関連して、今後注目されるのがバイオマス発電に対する規制のあり方です。「一般木質バイオマス」については、FIT買取価格が2017年度後半から切り下げられることになっており、今年度上半期にFIT認定の駆け込み申請が数多くあったようです。

 これらのバイオマス発電案件がすべて運転開始に至れば、必要になる再エネ賦課金の水準が政府の想定を大きく超えることになってしまいます。バイオマス発電は、FIT制度の設計や運用に新たな変更が行われないか、引き続き注意が必要な分野だといえるでしょう。

* 本稿は執筆者の個人的見解であり、その所属する法律事務所又はクライアントの見解ではありません。
川本 周(かわもと・あまね)
西村あさひ法律事務所・弁護士
2006年弁護士登録。西村ときわ法律事務所(現西村あさひ法律事務所)入所。電力ガス・プラクティスチーム所属。2013年から2年間、日系商社のロンドン子会社にて発電プロジェクトに従事。業務分野はプロジェクトファイナンス、証券化/流動化、電気・ガス事業など。
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