では、間接オークション方式による連系線利用で行われる取引について、経済産業省の電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会による中間論点整理の例示にしたがって、少し詳しく見てみましょう。

  • 売り手(発電事業者)と買い手(小売電気事業者)の間で、あらかじめ10円/kWhの固定価格で電気の売買を行うという前提を取り交わす。
  • JEPXの市場価格が8円/kWhの場合、買い主が差額の(10-8)円を売り主に支払う。
  • JEPXの市場価格が12円/kWhの場合、売り主は、差額(12円-10円)を買い主に支払う。
  • なお、JEPXの市場価格にエリア間値差が生じた場合には、当該値差についてもいずれかの当事者が負担することが想定される。この場合に値差を負担する当事者 のリスクをヘッジする観点から、いわゆる間接的送電権の必要性が生ずる。

連系線を使う電力取引はデリバティブ扱いに?
間接オークション方式による差金決済の仕組み(出所:経済産業省・電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会の中間論点整理)

 この取引で、「差金決済契約の合意」部分だけに着目すると、売り手が買い手に対して約定価格(10円)と現実価格(8円)の差額の金銭の授受を約束した取引となっています。この場合には店頭デリバティブ取引に該当し、取引当事者は商品先物取引業の許可が必要になるなど、規制対象となるおそれがあります。会計上もデリバティブ取引として管理が必要となりそうです。

 デリバティブ取引に当たらないようにするためには、「差金決済契約の合意」のみを単独で交わすのは避け、「連系線を介した電力の実物取引の付随合意」として差金決済合意を位置付けるのが良いでしょう。

 具体的には、売り手と買い手が、合意価格(前例でいうと10円/kWh)と市場価格(8円/kWh)との差額の支払いのみならず、(1)スポット市場を介して電力を受け渡すこと、(2)当事者間の合意価格(特定価格)を定めておくこと、(3)特定価格の一部を市場で決済すること、(4)特定価格の残り(特定価格と市場価格の差額)を直接支払うこと、の4点をひとまとめに扱うことが適切です。なお、制度検討作業部会の中間論点整理では、この4点についての合意を「特定契約」と定義しています。

 さらに、売り手と買い手がそれぞれのエリアにおいて、実際に確実に取引が成立する価格で売り入札と買い入札を行うことを合意事項としておくことが無難でしょう。