制度検討作業部会が公表した「既存契約見直し指針について」と題する資料には、間接オークション方式導入に伴う経過措置の適用を受けるための条件との文脈ではあるものの、(1)~(4)で構成する「特定契約」について、さらなる記載があります。

 まず、(a)目的として、電力の送電者が自己所有の発電所で発生した電力(および別途調達した電力)をJEPXの前日スポット取引市場に供給し、電力の受電者がスポット取引市場から受電すること、(b)電力の受渡場所の特定(JEPXとすることも可能)、(c)実需給の一定の期間前までに、実受給日の必要電力量を合意し、JEPXの前日スポット取引市場において送電側の事業者は合意した量の売り入札を、受電側の事業者は合意した量の買い入札を実施すること、(d)売買義務の履行が必要であること--を定めておく必要があります。

 さらに、売買義務が履行されなかった場合には、契約解除や補償金を請求するといった特約条項を付けておくべきだと示唆する記述もあります。

 なお、制度検討作業部会の中間論点整理は、間接オークション方式による電力売買の会計整理に関して、「特定契約は、スポット市場を介して電力を受け渡すことを内容とする電力需給契約の一種であり、電力財の取引と事業者間精算の取引は一体の契約で行われることとなることから、金融商品会計基準の対象外(会計上デリバティブ取引に該当しない)と考えることが適当」と整理しています。

【質問4】 電力の先物取引はデリバティブ取引に当たり、東京商品取引所で上場するとのことですが、先渡取引は既に日本卸電力取引所(JEPX)で行われています。2つの取引所の関係性は。

【回答4】 商品先物取引法6条には、「取引所集中の考え方」という項目があります。東京商品取引所で先物取引が始まった後は、「仲間市場」(商品先物取引法331条)とみなされるJEPXの先渡取引の機能を東京商品取引所と統合するのかどうか、議論の整理が必要になりそうです。

 取引所集中の原則を照らすと、JEPXの先渡市場のほか、現在、制度設計が進められている「ベースロード電源市場」における取引や間接的送電権の付与との関係についても、商品先物取引法の観点から整理・検討が必要になるでしょう。

 さらに、電気事業者間で行う差金決済が、商品デリバティブ取引に該当するのかどうか、また、デリバティブ取引に関する規制の適用を受けるのかどうか、改めて整理が必要となりそうです。

* 本稿は執筆者の個人的見解であり、その所属する法律事務所又はクライアントの見解ではありません。

松平 定之(まつだいら・さだゆき)
西村あさひ法律事務所・弁護士
弁護士・ニューヨーク州弁護士。電力ガス・プラクティスチーム所属。2011~2012年は米国のDebevoise&Plimpton法律事務所勤務。業務分野は、M&A・JV、エネルギー分野の規制・契約・紛争など
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