増える太陽光と蓄電池、需要家を囲い込み

 商業施設向けなどの大型蓄電池だけでなく、米国やオーストラリアの大手電力会社では家庭に導入された小型蓄電池もVPP運用の対象にしようとしている。背景には、住宅向け太陽光の導入が拡大するにつれ、送配電網が不安定になる問題が顕在化してきたことが挙げられる。需要家が設置した蓄電池をVPP運用することで系統の安定化を図るのが第1の狙いだ。

 第2の理由は、米豪の大手電力の顧客の多くが太陽光と蓄電池のハイブリッドシステムを住宅に設置し始めたことだ。VPP運用による経済メリットを提供することが、顧客の囲い込みにつながる。これまで電気事業は大規模発電所からの一方向的な電力供給を軸としてきたが、海外ではここにきて分散型リソースを活用する新しいビジネスモデルに挑戦する事業者が出始めている。蓄電池VPPはそのもっとも先進的な試みだ。

蓄電池の「第三者保有モデル」、VPPで採算性高める

 ニューヨーク州大手電力のコンエディソンは、「第三者保有モデル」で同社の顧客の住宅に太陽光パネルと蓄電池を設置し、これらを使って顧客に電力を供給する実証プロジェクトを2016年6月にスタートさせている。

 第三者保有モデルは、デベロッパーが第三者から資金を調達して需要家宅に太陽光発電を設置し、さらに、その太陽光で発電される電力を需要家に販売するビジネス手法。消費者には初期費用を直接負担しないで済むメリットがあり、米国では太陽光パネル普及の原動力にもなった。

 コンエディソンの実証プロジェクトでは太陽光パネルだけでなく蓄電池も組み合わせる。太陽光発電システムは米サンパワー製、蓄電池設備は米サンバージ製だが、全体のシステムはコンエディソンが保有する。蓄電池システムはまだ高価なことから、顧客の負担感が少ない第三者保有モデルが有望だと見ている。同社は太陽光発電の余剰電力を貯めた顧客の蓄電池をVPP運用し、系統安定化の効果や経済性について検証する。

 コンエディソンは事業化に当たって、需要家から太陽光パネルが発電した電力への対価と、停電時も蓄電池から電力供給が可能になることによるレジリエンス(災害耐性)の向上に対する対価を受け取ることを想定している。さらに、蓄電池設備をVPP運用することで事業採算性を高める考えだ。

第三者保有モデルで蓄電池の普及を促進
米コンエディソンのビジネススキーム

 コンエディソンは、この事業のIRR(内部収益率)の目標を8%に置いている。リチウムイオン蓄電池システムの価格動向を織り込んだ予測では、レジリエンス向上サービスの対価として顧客が月に20ドル支払ってくれれば、2018年にIRRは8%に達する。レジリエンス料金を上乗せしない場合には2021年になると予想する。顧客がレジリエンス性の価値を認めるかどうかが蓄電池普及の焦点になるという。