システムは使ってナンボ

 使ってナンボ――当たり前のことだが、情報システムは利用者が活用してこそ投資に見合った効果が得られる。計画通りにシステムを稼働させただけでは、そのプロジェクトは成功とはいえない。(日経コンピュータ2004年1月12日号特集「使ってナンボ」

 システム開発プロジェクトにおける利用者教育の必要性は、10年以上前から大きく変わっていないはずである。現に、基幹業務システムを全面刷新する企業の中には、システム開発と同様に利用者教育に特化したサブプロジェクトを早い段階で立ち上げ、稼働直後の混乱回避を図る例がある。

 ところが広域機関システムのプロジェクトでは、利用者教育のサブプロジェクトはシステム稼働の直前まで始動しなかった。そもそも利用者教育の責任者を設けていなかった。

 不十分な利用者教育は、「計画値同時同量」と呼ぶ新制度に即して広域機関システムに需要調達計画を送る小売電気事業者と、発電販売計画を提出する発電事業者の混乱を招いた。本来なら両者で一致するはずのデータの不整合が多発したことは、電力ビジネス関係者には周知の事実だ。

 誤ったデータを含む計画を広域機関システムに送った小売・発電事業者は当初、ピーク時には100社超に達したとされてきた。しかし、実際には2016年4月1日時点で232社に上っていたことが、2017年6月開催の広域機関の総会資料で明らかになった。

 この資料には利用者教育の効果を客観的に示す珍しいデータも載っている。広域機関は2016年5月半ば、計画提出に関して広域機関システムの説明会を開いた。その結果、整合しない計画を提出する小売・発電事業者の数は6月1日に、一気に7割少ない69社にまで減った。11月以降は10社を超えることがなくなり、混乱はほぼ収まった。

全面自由化後の大混乱はシステム利用者教育を経て収束へ
誤ったデータが内在する計画を広域機関に提出した小売・発電事業者数の推移