先行するJERAの配当ルールを踏襲する

 そして、「達成すべき財務ベンチマーク」に関する註において、「例えば、債務残高対営業CF(キャッシュフロー)比率や現預金残高など」という説明がなされている。

 ここでの記載内容はファイナンスにおける「(財務)コベナンツ」の考え方が援用されている。コベナンツとは、債券や融資の契約書における特約事項であり、債務者がコベナンツに抵触した場合には、債権者は契約の条件変更(融資の金利を上げるなど)、あるいは解除(期限の利益を喪失させ返済させる)ができるようにしているケースが多い。

 そして、アライアンスの先行事例であるJERA(東電と中部電力が折半出資する燃料調達・火力発電事業会社)に措置を講じて、それを前例とするとしている。JERAは6月8日に、東電と中部電の既存火力発電事業の統合を発表。合弁契約の締結に際して、両社は配当の議決権に関するルールについて、財務コベナンツに類似した仕組みを導入することで合意している。

 例えば東電が債務超過に陥る見込みになるなど、「株主の財務状況に重大な懸念事項が発生した場合」には、第一段階として配当に関する決定権限を中部電に委ねることで、苦境にある東電を、JERAの配当金支払いによって恣意的に支援することを防ぐ。また、その後も東電の財務状態が改善せず、実際に債務超過になった場合などでは、第二段階として東電と中部電の出資比率(現状では50%ずつ)を変更し、中部電力が過半の株式を保有する。

 中部電の出資比率が50%を超えれば、JERAは中部電力の連結子会社となる。東電グループの基幹事業の1つである燃料・火力発電事業は、いわば「中部電力のもの」となってしまう。

 JERAをはじめとする共同事業体の自律的経営と財務健全性の堅持に関して、東電が「本気である」と評価できるのは、こうした理由による。

発動するとJERAは中部電力の子会社に
JERAの配当ルールを遵守する仕組み