本来、インバランス精算制度は電力需要に対する電力供給の過不足を抑えるのが目的だ。小売電気事業者と発電事業者には「計画値同時同量」と呼ばれる需給管理が課せられている。現行のインバランス精算制度や、インバランス料金算定のベースとなる卸電力市場が正常に機能していれば、不足か余剰かを問わず、小売電気事業者や発電事業者にはインバランスを抑えようとするインセンティブが働くはずだった。

余剰インバランスに経済的インセンティブ

 だが、2016年4月の全面自由化に合わせて導入された現行のインバランス制度は、2020年に予定される発送電分離までの“過渡的制度”で、本来の機能が想定通りには発揮できていない。インバランス料金がスポット価格に比べて高いか安いかをある程度予見できる欠点があり、市場で売買するよりインバランスを出す方が利益を上げられと想定できるケースが少なくないとされる。このことは、現行のインバランス精算制度を設計した資源エネルギー庁自身が全面自由化直後から指摘している。

 そして、2017年6月、インバランス料金の見直しに関連して、エネ庁は有識者会議で卸市場価格とインバランス料金の相関をグラフで示しつつ、「東京エリアは、余剰インバランスを恒常的に発生させる経済的インセンティブが生じている」と断じている。

インバランス料金が市場価格を上回る傾向が強い
東京エリアのスポット市場価格(エリアプライス)とインバランス料金[2017年2月](出所:資源エネルギー庁)

 上のグラフを見ると、東京エリアはインバランス料金が卸電力市場におけるエリアプライスを上回る傾向が強い。

 現行のインバランス料金の算定は、全国規模の当日の需給から算出した調整係数(α値)を市場価格に掛け合わせた基準単価に、エリアごとの需給調整コスト差(β値)を加える。β値はエリアごとに異なり、2016年度は1kWh当たり-3.9~2.63円が設定された。

 東京エリアの場合、β値が「2.63円/kWh」と最も大きい。α値は通常、多くは「1」前後であるため、ザックリ言って、東京エリアのインバランス料金は市場価格より2円程度高くなりやすい。グラフはその傾向を示している。余剰インバランスを出した事業者はこの単価で一般送配電事業者に余剰を売り渡し、不足インバランスを出した事業者は不足分を買い取ることになる。

 2017年度は東京エリアのβ値は「1.22円/kWh」と設定されたため、市場価格との差は縮まったが、それでもエリアプライス(市場価格)を上回る傾向は残っている。

 東電EPは意図していたか、していないかを問わず、卸電力市場に投入する(売る)よりも利益を出しやすい余剰インバランスを規制部門である東電PGに買い取らせ、利益を上げているという構図になる。