例えば、2017年にIPOを果たしたレノバは、設備投資型の再エネ発電事業において、共同出資パートナーの受入れやプロジェクトファイナンスの組成によって資金制約を突破。まさしく、柔軟な対応力が特徴だ。

 これまでは、エネルギーベンチャーでも、「サブセクターでの最初の上場企業」という希少性が株式市場で評価された。目新しさが注目され、先行IPOが事業展開上、有利になると見られていた。しかし、現実には、大手企業がひしめくエネルギー分野で、先んじてIPOしたからといって、事業が成功する保証はどこにもない。

注目分野は電力小売りの周辺にあり

 では今後、有望なエネルギーベンチャーは、どこから出てくるのか。やはり、電力小売りビジネスを起点とする動きに注目したい。顧客接点や地域密着の性格が強く、激しい動きの中で、ベンチャーの柔軟な対応力が生かせる分野だからだ。

 電力小売り分野は、2016年4月の全面自由化を見据えて、ベンチャーを含む多種多様な企業が参入した。小売電気事業者の登録数は、2017年8月7日時点で414社に達している。しかし、電力小売りへの参入企業数が、このまま増え続けるということはないだろう。数千社が参入する業界ではなく、2020年に向けて、参入企業は淘汰され、減少すると予想している。

 電力小売りの業界再編の動きは、大手企業を中心とした合従連衡と、ベンチャーなどのニッチ特化の2つの方向に分かれていくだろう。

 大手電力会社や都市ガス、石油元売り会社、総合商社など大手企業の間では、「規模」の戦いを見据えた合従連衡が始まる。電力小売りの業界シェアの向上を目指して、電源調達力や顧客基盤、営業力、ブランド、資金調達力を駆使したパワーゲームが展開されるだろう。

 一方、電力小売りベンチャーは、大手企業中心の「規模」の戦いとは一線を画することが生き残りのポイントとなる。ニッチ特化で、「特徴」の戦いに持ち込むことが重要だ。

 ベンチャーの差異化戦略は、次の3つが想定される。(1)ユニークな電源、(2)バリューチェーンの結合、(3)ICTとIoTの活用である。

新市場を虎視眈々と狙うエネルギーベンチャー
主なベンチャーの差異化戦略

 第1の戦略に、ユニークな電源と需要家を結び付ける試みがある。電源の特性で差異化を図り、価格競争だけでないビジネスを志向する。環境重視の先端企業や消費者に、再エネ中心の環境配慮型電力を供給する。ほかにも、スポーツチームの応援や、地域限定など様々なこだわりのアイデアが考えられる。みんな電力(東京都世田谷区)による地域の発電所と環境志向の強い需要家を繋ぐ試みが、ベンチャーの注目事例である。

 第2に、電力ビジネスのバリューチェーンを結合する動きである。電力小売り事業から幅を広げて、上流の発電事業では再エネプロジェクト開発、下流の需要家向けサービスでは、省エネ支援やエネルギーマネジメントに取り組んでいく。クロスセル(共通の顧客に商材サービスを提供)、総合・融合提案(ワンストップ・サービス、バリューチェーンをまたぐ融合サービス)、事業シナジー(技術、人材、設備など経営資源の有効活用)がポイントとなる。電気保安管理と省エネ支援で5万件強の顧客基盤を持つ日本テクノ(東京都新宿区)やエンジニアリング技術力を武器に幅広い分野に取り組む洸陽電機(神戸市)などの取り組みがベンチャー事例といえる。

 そして、最も注目しているのが第3のICT/IoTに関わる様々な技術を活用する業界横断的な取り組みである。IoTやブロックチェーン、AI(人工知能)、ビッグデータなど先端技術の周辺では続々とベンチャーが誕生している。大手企業の参入も相次いでいるため、他の業界との積極的にコラボすれば、新ビジネスの創造につながる。