4年後の売上高は500億円以上

 大東エナジーによると、いい部屋でんき契約世帯の平均的な1カ月の使用電力量は250kWh弱。これを同社の料金プランに当てはめると、1世帯当たりの年間の電気料金は8万円弱になる。計画通り70万世帯の契約を獲得できれば、年間の売上高は500億~600億円に達する。

 大東エナジーの事業モデルは100万戸弱の賃貸物件の入居世帯がベースとなるストック型ビジネスであり、「契約獲得数や売上高を事前に計算できることが強みとなっている」と望月社長は話す。「大手電力より5%安」という料金設定は、こうした計算を前提に利益が出るギリギリを狙ったものだ。「いい部屋でんきには、電力で利益を上げる以上にグループの賃貸物件の付加価値を高める狙いがある。赤字を出すわけにはいかないが、電力事業は薄利多売でやっていく」(同)という事業構想だ。

使用電力量が少ない世帯でも必ず安くなる
2016年6月時点の東京電力エナジーパートナーとの料金比較

 ストック型であることに加えて、大東エナジーの事業モデルには、もう1つ特徴がある。「できるだけ外部のリソースを活用する」(望月社長)というものだ。すでに述べた通り、電気の営業活動は不動産の仲介業者が担ってくれる。しかも、契約は顧客自身の申込書郵送やWebサイトへのデータ入力で成立するため、不動産仲介業者と代理契約を結ぶ必要がなく、代理手数料も発生しない。

 電話の問い合わせに対応するカスタマーサービスや、1日数百件の申し込みを処理するバックオフィス業務もアウトソーシングする。大東エナジー本体のスタッフ数は10人に満たない。

 小売電気事業者にとって特に手間のかかる電気料金の回収は、大東建託グループ内で賃貸物件の家賃徴収を担当する大東建物管理に委託する。まず、大東エナジーがいい部屋でんきの契約世帯ごとの電気料金を算出し、大東建物管理に債権として売却。大東建物管理はいい部屋でんきの契約世帯と賃貸物件の入居世帯をひも付けして、家賃と電気料金をまとめて請求する。

電気料金は家賃と一緒に親会社が徴収
大東エナジーの電気料金回収の仕組み(出所:日経エネルギーNext)

 大東建託の賃貸物件に入居する世帯以外には電気を販売できないモデルだが、潜在顧客となる物件の母数が100万戸あれば不足はないだろう。
 電源調達と需給管理も大手新電力のバランシンググループに参加し、代表契約者の事業者に委託している。