新規の「原油埋蔵量」の発見が減っていることも原油生産を減少させる。

 図3に過去の原油埋蔵量の発見量の変化を示す。

 2015年には121億バレルの新たな埋蔵量が確認された。発見量は5年連続減少しており、1952年以来の最小である。石油開発会社の開発費用削減が埋蔵量の発見を減らしている。発見量の不足も、5~10年後の供給量の減少に跳ね返ってくるだろう。

2015年の「発見量」は1952年以来、最小だった
図3●原油埋蔵量の新規発見量(出所:Rystad Energy社)

石油が豊富で安価だった時代は終わる

 石油生産能力が2019年ころにピークに達するというIEAの予測は、他の専門機関の様々な分析とも整合している。カナダのオイルサンドやベネズエラのオリノコ重質油などの非在来型原油は、資源量としては豊富に賦存するとされているが、回収コストが高く、1バレル40~50ドルの原油価格では、開発は縮小に向かわざるを得ないだろう。

 これまで世界の経済発展は、安価で豊富な石油供給により支えられていた。2000年ころからの石油開発のコスト上昇による原油開発の停滞と、その結果としての原油供給能力の低下は、「石油経済」あるいは「石油文明」の衰退につながる。

 仮に、米国のトランプ政権が気候変動問題への手を緩めたとしても、原油資源問題は厳然として世界が直面する課題であり続け、このままだと世界経済の下降は避けられない。エネルギー資源を持たない日本は、他国に先駆けて石油に頼らない新しい国づくりを進めなければならない。

中田 雅彦(なかだ・まさひこ)
石油経済研究会
1941年生まれ。東京工業大学大学院修士課程(機械工学専攻)修了後、トヨタ自動車に入社。第3エンジン技術部部長などを歴任。工学博士(東工大)。定年退職後、トヨタグループの技術系シンクタンクであるテクノバで自動車燃料やエネルギーに関する調査研究に2016年3月まで従事した。

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