中国は自動車でも輸出大国を目指してきたが、国際市場で競争力を獲得するまでには至っていない。むしろ世界一の自動車市場であるがゆえに国内の石油消費が急増し、石油の輸入依存が拡大してしまった。

 だからこそ中国は早くから「脱石油」や「対HV戦略」としてのEV普及を推進してきたが、いまや生産台数で世界一となった自国の自動車産業への配慮を欠かすことはできず、これまでのところ急進的な「ガソリン・ディーゼル車の販売禁止」を打ち出すまでには至っていない(一部では、2025年の販売禁止を検討しているとも伝えられている)。

 昨今、急速な盛り上がりを見せているEVシフトだが、つぶさに見れば、国や自動車メーカーによって立場や狙いは微妙に異なる。

 そうした中、日本がEVシフトに乗り遅れることを懸念する声が聞かれる。

 だが、あえて言えば、ハイブリッド技術やEV技術で先行しているがゆえ、包囲されてしまった状況と見ることもできよう。むしろ、日本はEVでも技術や政策面で先を走っていた。だが今回、欧州勢がEV普及のリーダーに見えるようになったとしたら、挽回策としては見事なイメージ戦略と言えるかもしれない。

同床異夢のEVシフト
各国の背景と狙い

急速充電に揮発油税・・・ 課題は山積

 こうしたトレンドに乗じて、様々な研究機関やオピニオンリーダーたちが、来たる「EV時代」について語り始めている。しかし、彼らが繰り出す予測は現実とのギャップも大きく、今のところコンセンサスの形成にはほど遠いというのが現実だろう。

 世の中を席巻している「EV大量普及のシナリオ」では、EV導入の大きな障壁とされるバッテリーコストの急速な低減が前提となっていることが多い。

 多くのEVで採用されているリチウムイオン電池の1kWh当たりコストは、この10年間でざっくり4分の1になった。だが、同様に次の10年でさらに4分の1(トータルで16分の1)に低減できるという保証はない。むしろ、蓄電池に使うリチウムやコバルトといった資源は高騰し始めており、コスト低減には逆風も吹き始めている。

 もう1つの障壁は充電時間の長さである。

 現行の急速充電器は定格出力で多くが50kWという水準だが、満充電に約30分かかり、利便性に劣る。出力を上げれば高速化は可能なため、現在、120kWや350kWといった高出力の充電ステーションの規格や設置が検討されている。

 350kWの充電ステーションが実現すれば5分以内の充電も夢ではない。

 一方で、高出力化にはバッテリーの劣化を早める問題がある。また、350kWと言えば、350Aの大電流を1000Vという高電圧で供給することに相当する。電力としては小規模ビル1棟分の規模である。何の資格も持たない一般消費者が取り扱ってよいのかといった問題もある。