パソナグループで宮城県丸森町の地域商社事業を手がけるGM7(宮城県丸森町)は、台風19号の被害を受けた同町の“農業再興”に向けて、水産養殖と水耕栽培を掛け合わせた次世代型の循環型有機農業システム「アクアポニックス」導入のためのクラウドファンディングを開始した。目標金額を500万円に設定し、2020年1月10日まで募集した。

 アクアポニックスは、魚が排出する糞や尿を植物育成の栄養分に利用する水耕栽培システムで、土づくりや水やり、施肥、除草が不要。また、植物と微生物の力で水を浄化するため、魚を養殖する水槽の水換えも不要になる。

循環型有機農業システム「アクアポニックス」(写真提供:GM7)

 農薬を散布すると水槽の中の魚が死んでしまうため、結果的に完全オーガニック(無農薬)を実現する。土を使わないので、土をすみかとしたり産卵したりする害虫が付かない。腰を曲げず立ったままで作業できるため、高齢者や車椅子の人でも負担なく日々の手入れが行える。

 露地栽培の約2.6倍の生産性を実現し、1反(約1000㎡)の土地から約11tの野菜と約5tの魚を生産できる。導入には1基700万円以上の費用がかかることから、今回のクラウドファンディングでは試験導入のための費用を募集する。

 アクアポニックスを導入することで農業再興に加えて、アクアポニックス施設を活用した観光農園の開園、隣接するレストランでの新鮮なオーガニック野菜の提供・販売など、農業と関連した複合産業を生み出し町全体の活性化や若者の誘致を図る。

 台風19号の被害では、丸森町は水道、電気、ガスのライフラインがすべてストップし、同町北部を流れる阿武隈川支流が決壊して町中が浸水した。台風直撃から5日後も約2割の地域が孤立し、300人超がまちづくりセンターや学校、体育館に避難した。同社も台風19号でオフィスや倉庫、加工場が浸水し、2000万円以上の被害を受けた。

──記事冒頭の画像:水産養殖(Aquaculture)と水耕栽培(Hydroponics)を組み合わせたアクアポニックス(イメージ) original image: VectorMine / stock.adobe.com