新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国の小中学校が一斉休校になった。その影響で余剰になった給食向け食品や食材を、官民を挙げて救済する取り組みが進んでいる。生活困窮世帯などへの支援策も活発になっている。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う小中学校の一斉休校により、学校給食へ食品や食材を納入していた事業者に大きな影響が出ている。本来の売り上げが立たないだけでなく、特に牛乳など日持ちのしない食材の場合は廃棄にかかる処分費用まで発生する恐れがある。

 これらの給食関連事業者を支援するため、学校向け未利用食品を有効活用する取り組みが活発化している。農林水産省では「学校給食の休止に伴う未利用食品活用緊急促進事業」を推進し、インターネット上の販売サイトなどを通じて実需者とのマッチング促進や、貧困家庭に食糧を寄付するフードバンクの活用促進などを行っている。

新たな販路とのマッチングを促進

 促進事業のうち、「学校向け未利用食品に係る新たな販路へのマッチング等促進対策事業」は、学校向け未利用食品を持つ給食関連事業者と実需者などとのマッチングを支援する取り組み。未利用食品の販売サイトを既存の販売サイト内に増設・運営する際の経費、各地域で未利用食品の即売会を開催するための経費、未利用食品の新たな販売先を確保した際の保管・配送経費を補助する。

 補助対象となるのは、販売サイトの増設費用、即売会などの会場費、保管および配送費用など。助成金額は定額とし、保管料は未利用食品の保管のために使用した倉庫の経費に限定する。配送費は傭車が1tあたり7000円以内、小口配送などが1kgあたり70円以内とする。2019年度の予備費として3億9600万円を計上した。

 事業実施主体は、公益財団法人・食品等流通合理化促進機構になる。同機構の委託を受けて、株式会社食文化(東京都中央区)が運営する食材販売サイト「うまいもんドットコム」では、同サイト内で給食の未利用食品を販売する「食べて応援!学校給食キャンペーン」を実施した(5月7日に販売終了)。参加事業者は75者、商品総数は923点となり、5月4日時点で累計15万8817件の受注があったという。

 このほかにも農水省のWebサイトでは、未利用食品の販売を促進するビジネスの情報を公開している。2019年12月から2020年1月に実施した「ICTやAI等の新技術を活用した食品ロス削減に効果的なビジネスの募集」の応募企業のうち、新型コロナウイルス感染拡大に伴う未利用食品の販売に取り組む事業者を取りまとめた。

 農水省のサイトに掲載されているのは、ICS-netの「シェアシマ」、NTTドコモの「ecobuy」、クラダシの「KURADASHI.jp」、Creation City Labの「temite」、コークッキングの「TABETE」、SynaBizの「Otameshi」、ビューティフルスマイルの「ロスゼロ」、みなとくの「No Food Loss」、Renderの「Render」の9件。各ビジネスでは、新型コロナウイルスの影響を踏まえたビジネス対象範囲の拡大(新規メニューの追加など)、利用条件の変更(利用料の減免など)、積極的な相談対応といった取り組みを実施しているという。

フードバンクに未利用食品に関する情報を提供する(出所:農林水産省)
フードバンクに未利用食品に関する情報を提供する(出所:農林水産省)
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フードバンクの活用促進

 フードバンクは、包装の破損や印字ミス、過剰在庫など品質に問題がないにも関わらず市場に流通できない食品を寄贈してもらい、福祉施設や生活困窮世帯などへ無償提供する取り組み。日本国内では、主に子どもの貧困対策として学校給食のない長期休暇の間の食糧支援などの活動を行っている。今回の新型コロナウイルス拡大による一斉休校で、食糧支援を必要とする子どものいる貧困世帯が急増しているという。

 農水省の促進事業のうち「フードバンク活用の促進対策及び再生利用の促進対策」では、未利用食品をフードバンクに寄贈する、またはフードバンクと調整のうえ施設などに直接寄贈する際に必要となる輸配送費を補助する。また、消費期限・賞味期限切れや品質劣化などによりフードバンクへの寄贈が難しい場合は、やむを得ず廃棄する未利用食品を再生利用する際に必要となる輸配送費や、再生利用事業者に対して支払う再生利用にかかる処理費を補助する。

 助成金額は定額となり、輸配送費は、車両傭車が1tあたり7000円以内、小口配送便などが1kgあたり70円以内。また、再生利用にかかる処理費は1kgあたり32円以内。2019年度の予備費として2億9800万円を計上した。

 2020年3月以降の新型コロナウイルス拡大に伴う臨時休校などにより発生する学校給食用の未利用食品に対して、2月27日から5月29日に実施される取り組みが対象となる。すでに実施した取り組みについてもあとから申請が可能。学校給食用の未利用食品であれば、食品関連事業者のほか農林漁業者、学校設置者、学校給食会など、幅広い対象者が補助(助成)を受けられる。

 このほかにも農水省では、イベントや学校給食で活用する予定だった未利用食品の情報を集約し、全国のフードバンク団体に一斉発信する取り組みを3月4日から開始。4月24日時点で30件、合計約7.5tの未利用食品がフードバンク団体に寄付された。同省では、イベントや学校給食の未利用食品だけでなく、飲食店の休止・時間短縮、観光客・インバウンドの減少など新型コロナウイルスの影響で発生した未利用食品も対象に引き続き実施する。

──記事冒頭の画像:貴重な食材を無駄にしないために、今できること(イメージ) original image: Fernando / stock.adobe.com