新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、テレワークをはじめとした新しい生活様式が定着しつつある。そうしたなか、セミナーやイベントの開催といった集客事業のオンライン化が進んでいる。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言は2020年5月25日に解除されたが、現在(6月17日時点)でも不要不急の外出を自粛し、3密を避ける生活を続けることが求められている。こうした状況のなか、「通勤せずに自宅などで仕事をするリモートオフィスやテレワーク」「家にいながらネットを通じてショッピングやグルメ、エンターテインメントを楽しむ巣ごもり消費」といった、新たなライフスタイルが定着しつつある。

 セミナーやイベントの開催といった集客事業においても、オンラインセミナーやウェビナー(ウェブとセミナーの造語)、映像配信などの企画や運営、オンラインとオフラインの併用といった、新しい形式のイベントに取り組む企業が出始めている。今回は、こうしたオンラインイベントの取り組みを紹介したい。

ウェビナーの企画や運用を丸ごと支援

 コンサルティング会社の合同会社FLOURISH(東京都港区)は、ウェビナーの企画・運用代行サービスの提供を開始した。同社によると、新型コロナウイルス拡大によるテレワークの普及に伴い、BtoB企業がオフラインイベントから、ウェビナーなどのオンラインイベントへの移行を進めているという。

 ウェビナー主催者のメリットとしては、「エリアを絞らず全国規模で実施が可能」「会場費や人件費などのコストが安く定期的な開催が可能」「滞在時間などの定量データを取得しやすい」「より多くのリード獲得を見込める点」を挙げている。また、ウェビナーの参加者にとっても、「移動がないので時間的に融通がきく」「単独でも参加しやすい」「落ち着いた環境で聞ける」「遠方のイベントも参加しやすい」といったメリットがあるという。

 その一方で、ウェビナーの実施にあたっては、配信ツールの設定、フォームからの申し込み受付、配信フローの設計、配信方法まで、ITや使用ツール、映像配信の知識やノウハウが求められる。また、マーケティング活動やサービス提供としての目標設定、ターゲットの選定、コンテンツ企画・制作、集客などの戦略立案・実施が必要となる。オンライン配信は気軽に視聴できる一方で視聴離脱も容易なため、配信中に飽きさせない工夫も重要だ。同社のサービスでは、映像配信だけでなく実施準備から本番終了までをワンストップでサポートする。

 配信ツールやフォームは、用途に応じてZoomやYouTube、Teamsなどから選択できる。視聴データや集客データをもとに次回の参考にできるよう、レポーティングも行う。テロップやエフェクト、BGMなど、目的と用途に応じて配信素材を再編集して2次利用できる映像コンテンツ制作もオプション対応する。フィードバックに基づき、次回開催に向けて企画を再構築するという一連のサイクルを回していくことでパフォーマンスを最大化できるとしている。

 イベント企画運営を手がけるプランニングオフィスエスエムエス(大阪市)は、オンライン展示会サービス「Face Map」を立ち上げた。実際の展示会と同じように出展企業のブースを回って、担当者と商談したり問い合わせたりすることができる。

オンライン展示会サービス「Face Map」の画面(出所:プランニングオフィスエスエムエス)
オンライン展示会サービス「Face Map」の画面(出所:プランニングオフィスエスエムエス)
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 オンラインイベント会場は、最大100ルームのテレビ会議システムから構成される。指定されたURLにアクセスしてオンライン会場に入った後は、展示会マップ上の行き先をクリックするだけで各ブースやコーナーに移動できる。同時に、新たなテレビ会議システムにつながり、ブース内の担当者とFace to Faceでコミュニケーションを取れる。

 マップは企画内容に応じて完全オリジナルで作成が可能。企画や出展企業の都合に合わせて、Zoom、Whereby、Webex Meetings、V-CUBEなど、さまざまなオンラインビデオ会議ツールに対応する。同社の展示会ノウハウを活用し、台本・マニュアルの作成、演出、参加者への告知、リハーサル、当日の進行・運営までをサポートするという。

 同社が2020年4月から提供を開始したオンラインイベントサービス「ツナガル」も活用する。ツナガルは、オンラインでの「大人数の会議」「研修」「株主総会」「記者会見」などを実施できるサービスで、企画・演出から撮影・配信、運用までをサポートする。Face Mapのほかにも、プロレスファンミーティング、オンラインサッカー教室、元タカラジェンヌによるオンラインイベントで採用された実績がある。

BtoBの大規模展示会や親子で体験できるワークショップ

 オンライン上の大規模なイベントも始まった。一般財団法人不動産テック協会は、大規模オンラインイベント「不動産テックウィーク2020(The Retech Week 2020)」を開催している。開催期間は2020年6月15〜27日の約2週間。平日は19時から、土日は18時からの1時間半〜2時間程度の予定でパネルディスカッションやオンラインセミナーを実施する。配信にはZoomを利用する。

「不動産テックウィーク2020」のホームページ(出所:一般財団法人不動産テック協会)
「不動産テックウィーク2020」のホームページ(出所:一般財団法人不動産テック協会)
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 不動産テックとは、不動産とテクノロジーを組み合わせた造語であり、ITを活用することで不動産に関連する業界課題や商習慣を変革する価値や仕組みのことを指す。同協会は、情報セキュリティの調査やデータベースに関するルール策定、海外不動産テックサービスの状況調査などを通じて、健全な業界活動における基盤構築をめざしている。

 新型コロナウイルスは不動産業界にも大きな影響があり、オンライン接客やデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きが一気に加速した。そこで同協会は、2020年5月からオンラインセミナーを活用して不動産テック情報を発信している。今回開催する不動産テックウィーク2020は、同協会の所属企業だけではなく、連携団体も登壇する業界初かつ最大規模のオンラインイベントとなる。

 主な開催イベントは、パネルディスカッション「コロナ禍で変わる日本の不動産テックマーケット」(6月15日)、情報流通部会・電子化部会「不動産データ活用とオンライン化の現状」(6月16日)、 不動産カオスマップ部会「不動産テックカオスマップ最新版公開」(6月17日)、海外連携部会「アメリカの不動産テックの現状(仮)」(6月18日)、日本賃貸仲介協会連携「アフターコロナの賃貸仲介とDX」(6月19日)など。

 セミナーに参加するにはWebサイトから参加申し込みを行う必要があり、申し込み完了後に当日視聴のためのURLが送付される。参加費は不動産テック協会会員は無料、非会員は1万円。定員は1日あたり500人、開催期間合計では累計6500人を予定する。

──記事冒頭の画像:家にいながらネットを通じて体験できる世界が、さらなる広がりを見せている(イメージ) original image: Tierney / stock.adobe.com