ロボットを活用した感染防止ソリューション

 新型コロナウイルスの感染原因のひとつとされる濃厚接触を避けるために、ロボットを活用するソリューションも登場している。川崎重工業は、神戸海洋博物館(神戸市)内の企業ミュージアム「カワサキワールド」が営業再開するにあたって、同社の人共存型双腕スカラロボット「duAro2(デュアロ・ツー)」を用いた自動検温システムを設置した。

 duAroシリーズは、人と同じ空間で共存し共同作業することを目的としたロボット。人の両腕の動きをそのまま再現でき、人が行う作業を一人分のスペースで簡単に置き換えられる。duAro2は、上下方向のストローク量が550mmと、深い箱への箱詰め作業など上下方向の動きを得意とする。

 今回開発した検温システムは、ロボットの右手に非接触型の温度センサーを取り付けたもの。検査エリアに入った来館者が測定開始センサーの上に手を近付け、温度センサーに額を近付けると検温を開始。体温が規定以下の場合は、ロボットの左手で保持したバーが開き入場できる。体温が規定以上の場合はバーが開かず係員を呼ぶ仕組みで、係員と来館者が接触することなく検温が可能だ。

人共存型双腕スカラロボット「duAro2」を使った自動検温システム(出所:川崎重工業)
人共存型双腕スカラロボット「duAro2」を使った自動検温システム(出所:川崎重工業)
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 来館者や運営スタッフの安全確保のため、すべての来館者に対して検温を実施する。アーム部分には柔らかな表面素材を採用し、万が一、人と接触しても衝突を検知して停止するなど、安全性にも配慮した。同社によると、新型コロナウイルスの脅威にさらされている社会では人同士の接触を減らす必要があるため、今後ますますロボットが果たす役割が大きくなると考えているという。

 ソフトバンクグループのロボット事業会社であるソフトバンクロボティクスは、同社のAI清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」によって、床面の新型コロナウイルス量を削減できることを実証したと発表した。その成果をもとに、Whizに薬剤用スプレーを搭載して、清掃と同時に壁やドアノブなどを消毒する新しいオプションサービス「除菌ソリューション(β版)」の提供を始めた。

 Whizは、主にカーペットなどの床の清掃を目的とした、自律走行が可能な乾式バキュームクリーナーのAI清掃ロボット。最初にWhizを手押しして清掃エリアの地図データを作成・記憶させれば、後はスタートボタンを押すだけで記憶した地図データをもとに清掃ルートを自律走行する。清掃ルート上に人や障害物が出現しても、複数のセンサーが検知して回避しながら作業できる。

 今回、新型コロナウイルスの削減効果について、東京都江戸川区と江戸川保健所の協力のもと、認定特定非営利活動法人・バイオメディカルサイエンス研究会(BMSA)が第三者環境調査を実施した。新型コロナウイルス感染症軽症患者を受け入れている施設でWhizが清掃を行った結果、新型コロナウイルスが大幅に減少した。さらに、清掃と同時に薬剤をスプレーし消毒した結果、床だけでなく壁やドアノブといった接触部においても新型コロナウイルスが検出されないレベルまで減少したことを確認したという。

AI清掃ロボット「Whiz」による清掃と立面・接触部消毒の同時実施の様子(出所:ソフトバンクロボティクス)
AI清掃ロボット「Whiz」による清掃と立面・接触部消毒の同時実施の様子(出所:ソフトバンクロボティクス)
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 この結果を受け、当初秋以降に予定していた除菌ソリューションの投入時期を大幅に早めて6月からβ版として提供を始めた。併せて、BMSAや公益財団法人・国際医療財団、公益社団法人・日本ペストコントロール協会など感染症対策の専門機関に監修を依頼し、江戸川保健所の協力のもと「新型コロナウイルス軽症者受け入れ施設向け 清掃ガイドライン」を作成した。