感染者数に応じて保証料が変動するサービス

 このほかにも、さまざまなビジネス向けの新型コロナウイルス対策ソリューションが登場している。企業間の信用リスク保証を提供するイー・ギャランティは、新型コロナウイルスの感染者数に応じて保証料が変動する新サービス「アジャスト(新型コロナ感染者数連動型)」の提供を開始した。

 同社の売掛債権保証サービスは、売買契約における取引先の売掛債権が、倒産などを理由に未回収となった場合に保証金を支払うというもの。。保証対象とする企業の倒産確率を1社ずつ算出し、それに応じた保証料を契約開始時に支払う。契約期間中に保証対象先のリスクが変動しても、通常であれば保証料は一定のままである。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって将来の経済環境が予測し難い状況となり、「コロナの影響による倒産が増えてからでは手の打ちようがなくなるため、備えてはおきたいものの、コロナが沈静化し倒産が想定よりも増加しなかった場合を考えると、保証料がもったいない」という意識が働き、導入を躊躇する企業も多いことから、新たに保証料が各種指標に連動するサービスを用意した。

 同サービスでは「契約開始日の前々月の感染者数」と「契約を開始した月の翌々月から6ヵ月間平均感染者数」を比較し、保険料が変動する。例えば、保険料200万円で7月1日に契約した場合、5月1日〜31日の累計感染者数2462人と、9月1日〜翌年2月28日の月間平均感染者数を比較して、平均感染者数が2462人以下の場合は保証料の50%(100万円)を、5000人以下の場合は同25%(50万円)を返金する。一方、2万人以上の場合は同15%(30万円)を、3万人以上の場合は同30%(60万円)を割増請求する形となる。なお、変動基準や比率は個別の契約内容により異なる。

 コロナ禍で各企業の売り上げが減っているなか、資金繰りに苦しむ企業に対して、仕入れ元が支払サイトの延長を容認し信用供与することが倒産の減少につながるという。2019年12月末時点の間接金融の残高は約424兆円、企業間信用の残高は約半分の約201兆円で、各企業が信用供与を3割増やすだけで約60兆円の企業間信用が生まれることになる。その一方で、企業間信用が生まれるということは、その分仕入れ元のリスクが大きくなることを意味する。同社は、このリスクを流動化先へ適正配分し、各企業が取引先に対して信用供与しやすい環境を作ることで、日本経済に貢献したいと説明する。

 医療機関向けのソリューションとして、米SAS Instituteと非営利の学術医療センターであるCleveland Clinic(クリーブランド クリニック)は、新型コロナウイルス感染症予測モデルを開発し、ソフトウエア開発プラットフォームの「GitHub」を通じて無償公開している。このモデルを利用することで、医療機関は患者数、空き病床数、人工呼吸器などの使用可能台数を予測し、新型コロナウイルス感染者とその他の患者への医療提供を最適化するのに役立てることが可能だ。

 さらに、外出制限が緩和されビジネスが再開している現状に向けて、新しいツールも公開した。医療機関は、ビジネス再開による各地域の状況を見極め、感染の影響を評価できる。この最適化モデルを活用することで、ICU病床や人工呼吸器などの重要な医療資源の利用状況を把握し、病院経営の健全性を保ちながら新型コロナウイルスの第2波(または他の資源ストレス)に備えることができる。

 感染症に対して免疫を持たない段階(Susceptible)、感染症が潜伏期間中の段階(Exposed)、発症段階(Infected)、感染症から回復し免疫を獲得した段階(Recovered)の4つのステージをもとにした、感染症流行の数理モデルであるSEIR疫学モデルをベースに、SASのAI対応分析プラットフォームを用いて開発した。日本法人のSAS Institute Japanによると、公開モデルは一般的な変数を用いているため日本の医療機関でも有効な分析結果を得られるという。