新型コロナウイルスの感染拡大が依然続く中、営業を開始した飲食店や小売店などでは、非接触型の接客サービスを導入することで感染拡大を防ごうとしている。

 アフターコロナ・ウィズコロナと呼ばれる時代において、さまざま企業活動や経済活動が直接顔を合わせずオンラインで完結できるようになってきた。一方、顧客が来店する飲食店や実店舗では、顧客と直接触れることなくサービスを提供できる非接触ソリューションが注目されている。今回は、実店舗における非接触の取り組みを紹介したい。

ロボットがサラダバーを配送

注文用のタブレット端末(出所:Mt.SQUARE)
注文用のタブレット端末(出所:Mt.SQUARE)
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 コンサルティング・システム開発のMt.SQUARE(東京都千代田区)は、三笠会館が玉川高島屋SC南館(東京都世田谷区)に2020年7月6日にオープンしたレストラン「THE GALLEY SEAFOOD & GRILL by MIKASA KAIKAN」に、POS(販売時点情報管理)システムやテーブルトップオーダー、キッチンディスプレイなどのテクノロジー・サービスを提供した。不必要な接触機会や作業を減らした完全キャッシュレスレストランのシステムを構築したと説明する。

 顧客ごとに消毒済みのタブレット端末を渡し、顧客が端末を使ってテーブルから注文することで接触機会を軽減した。タブレットの呼び出しボタンからいつでもスタッフを呼び出せる。スタッフの手元にあるハンディ端末からは顧客からの呼び出しと対応状況を確認できるため、より上質な接客が可能になる。

ロボット活用の非接触式サラダバー(出所:Mt.SQUARE)
ロボット活用の非接触式サラダバー(出所:Mt.SQUARE)
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 キッチンでは、各テーブルの状況が把握できるキッチンディスプレイの導入により、より適切なタイミングでの調理・提供が可能になる。Mt.SQUAREでは、これらの店舗システムは店舗や業態に合わせて多種多様なカスタマイズが可能で、今回のコロナ禍のような予測不能な変化に対しても迅速・柔軟に対応できると説明している。

 さらにTHE GALLEY SEAFOOD & GRILL by MIKASA KAIKANは、非接触式のサラダバーを導入した。客席の端末からサラダバーの食材を指定して注文すると、スタッフが盛り付けてロボットが客席まで運ぶ仕組みだ。ロボットを用いることで、顧客は気兼ねなく食べたい分を注文でき、店舗側では、サラダバーの消費量の目安が立てやすくフードロスが減るといった副次的効果も期待できるという。

 これは、QBIT Robotics(東京都千代田区)が提供する自動搬送ロボットサービスを採用して実現した。自動搬送ロボットは、タッチパネルで簡単に操作でき、1回の走行で3ヵ所を自動巡回し、配送後は元の場所(定位置)に戻る。また、走行ルート上の人や物を複数のセンサーで把握し、衝突を自動回避できる。天井に貼った位置マーカーを赤外線センサーで確認しながら移動するため、走行ルートが混雑していても位置を把握できるという。

スマートフォンからメニューを注文・決済

 横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ(横浜市)内のオールデイブッフェ「コンパス」は、サービス形式をオーダー式ブッフェに変更して2020年7月1日から営業を開始した。顧客自身のスマートフォンから注文可能な非接触オーダーシステムを導入し、すべてのメニューをスタッフが席まで届けるようにした。

 スマートフォンからキッチンへ直接注文することで料理を提供するまでの時間が短縮できるほか、従来のブッフェ料理の課題だった食品ロスを大幅に削減できる。感染対策としての安全性に加えて、環境負荷の低減にも貢献するという。

新たに導入した非接触オーダーシステム(出所:横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ)
新たに導入した非接触オーダーシステム(出所:横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ)
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 同ホテルでは「新しい生活様式」の価値に順応した新サービス「New Normal Service」を導入している。非接触オーダーシステムをはじめ、スタッフは常時マスクを着用して作業するほか、薬味類は個別に用意し、サービス用カウンターや調理用ワゴンなどの高頻度に接触する箇所は1時間ごとにアルコール消毒液で清掃するなど、最新の衛生管理基準に則したおもてなしを提供するとしている。

 非接触決済システムの導入を決定したのは、居酒屋などを展開するワタミだ。三井住友カードが提供する、クレジットカードや電子マネーなど23種類の決済方法に対応したオールインワン型のキャッシュレス決済端末「stera terminal(ステラ・ターミナル)」を2020年10月1日以降順次、全国のグループ店舗420店に設置する。同時に、タッチスクリーンを多言語表示に対応するなど、よりきめ細やかなサービス提供をめざす。

 このほかにもワタミグループでは、オーダーはタッチパネルで受注する、料理提供時にはトングや箸などを多めに提供する、ワタミの宅配では置き配(対面手渡しの見合わせ)を推奨する、といった感染防止策に取り組んでいる。