こんにちは。PANTSの滝口です。PANTSはふだん、ゲーム開発をしたり、商品やイベントをつくっています。この連載のタイトルは「思考のタガの外し方」。

まちおこしは、そのまち独自の魅力を掘り起こすこと。だから、他のまちのやり方をまねしても仕方がない。むしろ、「普通こうするよね」のタガを外して考えたほうがいいのではないか。

今回は埼玉県大宮で異例の大ヒットをしている大宮ガチャこと「大宮ガチャタマ」。マニアックなアイテムばかりが並ぶ変わったガチャガチャがなぜ話題を呼ぶのか。その秘密を探ってみた。

※編集部注:当記事には埼玉に対する否定的なツッコミが散見されますが、愛ゆえです。ご容赦ください。

レアなものしかない大宮ガチャタマ

 大宮ガチャタマとは、大宮周辺の商業施設、飲食店、神社などのスポットをキーホルダー化してガチャガチャで買えるようにしたもの。

第1弾
第1弾

 埼玉を代表するFMラジオ局NACK5や駅前の商業施設・大宮アルシェはわかるが、あきらかに地元の人にしかわからないであろう喫茶店「伯爵邸」や見慣れぬゆるキャラ「ぼんサイくん」など、地元ウケだけを狙ったラインナップ。なぜか大ヒットして第4弾まで発売され、のべ3万個以上も販売されているらしい。大丈夫か、大宮。

 ガチャガチャは今どんどんマニアックな方向に行っているから、その流れのひとつとして発売するのはわかる。けれど、なぜヒットするのかがよくわからず(だって、地元のラジオ局や商業施設のキーホルダーなんて欲しいだろうか?)、大宮の人の意識を不思議に思い、取材に行ってみた。

 こちらが仕掛け人の中島祥雄さん。大宮駅前にある大きな商業施設・大宮アルシェの2代目社長だ。

※撮影時だけマスクを外していただきました
※撮影時だけマスクを外していただきました

滝口「なんで、こんなにマニアックなガチャガチャを作ったんですか?」

中島さん「キッカケはコロナだったんです。2020年3月に、すべてのイベントが中止になって人を集められないとなり。何かで大宮の人を元気にしたいけど、大宮には何もない。仲間内との雑談の中で、地元の人しか知らないマニアックな喫茶店『伯爵邸』のガチャガチャでも無理やり作る? という話をしたら、他のメンバーが面白がったのがキッカケです」

滝口「出発点からしてマニアックですね。売れると思ってました?」

中島さん「いやー、周囲にも、何が面白いのかわからない、と言う人も多かったですし……まさか、こんなに売れるとは思っていませんでした。ちょっと面白がってくれて最初のロットの1000個が売れてくれればいいかな、くらいで」

滝口「そもそもは、コロナでイベントができなくてその代替案を考えてたんですよね? でも、そんな目標規模じゃ、代替案にはなってないじゃないですか」

※撮影時だけマスクを外していただきました
※撮影時だけマスクを外していただきました

中島さん「ははは、たしかに、ロジックがおかしいですよね。でも、そのときは大宮の人を元気にしたい気持ちでいっぱいだったんです」

滝口「発売は2021年3月なので、思いつきから第1弾の発売までは約1年かかってますよね。作るのが大変だったんですか?」

中島さん「いや、作ることはすぐにできるんですが、とにかく交渉が大変で。何が面白いのかわからないというご意見もたくさんありまして。でも、第1弾が予想外にヒットしてからはみなさん好意的で、結局、2021年の1年間のうちに第4弾まで全部で33種類も出せました」

滝口「第1弾を出すのに約1年かかったのに、2021年の1年間の内に第4弾まで出せたんですね」

中島さん「第1弾初期ロットの1000個が1ヵ月くらいで売れたらいいな、くらいに思ってたんですが、2日で完売して大盛況だったので、勢いに乗ってどんどん作りました」