街とどう関わってきたのか
滝口「最初は地元の人も寄りつかないような場所だったのに、どうやって街の人に受け入れられていったんですか?」
吉澤さん「テレビの影響が大きいですね。住宅街の中にあるお化け屋敷ってことでとりあげてもらって、それを見た地元の人が、あそこはお化け屋敷だったのか、って。それからホラープランナーとしていろんなところから声がかかり、方南町以外でもお化け屋敷をつくるようになりました。サンリオピューロランドの『オバケンゾンビランド』とか」

滝口「すると、必ずしも方南町にこだわってるわけじゃないんですか?」
吉澤さん「方南町だけで活動しようとは思ってないんですが、方南町でも、もっともっといろんなことをやりたいと思ってます。『方南町遊園地化計画』ってぼくらは呼んでるんですけれど」
滝口「え? なんですか、それ! 楽しそうな響きですね。どんな計画があるんですか?」

吉澤さん「すでにいろんなアトラクションを実際にやってます。お化け屋敷以外にも、忍者体験ができる『方南町忍者屋敷シュリケン』、悪代官から米を盗んで奪い返す『米泥棒大作戦』とか」
滝口「本物の米を盗むアトラクションですか? 聞いたことないですね」

吉澤さん「宇宙初のミッションクリア型米屋って呼んでます」
滝口「あ、盗んだお米は持ち帰れるのか。なんでそんなアトラクションつくったんですか? どこから思いついたのか、発想の原点がまったく想像できない」
吉澤さん「このアトラクションは社長がつくったんですけどね、社長は無農薬の農業もやっていて、お母さんが子どもに500円渡して『これでお米盗んできてちょうだい』って、お使いを遊びにできないか、考えてできたアトラクションみたいです。最近、米を完売して閉じてるんですが」
滝口「なるほど…想像もしてないところからの発想ですね。そして、社長さんの、思考のタガの外れっぷりもスゴい。他にも計画はあるんですか?」
吉澤さん「最近オープンしたのが、『Y澤精肉店』です。お化け屋敷の『脅かし』の要素をなくした謎解きアトラクションなんです」

こちらが「Y澤精肉店」。この店のオーナーはある事件の重要参考人であり、参加者は刑事に扮して、この店で潜入捜査を行う、という設定。果たしてあなたは時間内に謎を解き、戻ってくることはできるのか? ホラーと謎解きが融合した体験型アトラクション。
なお、ときどき、本物のお肉屋さんと勘違いして、お客さんが入ってくるそう。店の前に置いてある自転車は、この建物の上の階に住んでいる住人のもの。まさに、住宅街の中にアトラクションがあるのだ。
吉澤さん「それと、アトラクションじゃないんですが、今やってることとして、『ベビーカーおろすんジャー』というヒーローがいたり、お年寄りと子どもたちの交流の場になればと思って『駄可笑屋敷』(だがしやしき)という駄菓子屋さんもやってますし、『変ドル』という方南町遊園地内だけで使えるお金もあります」
滝口「いろいろ変な単語が飛び出してきましたね。ベビーカーおろすんジャー? 変ドル? 社長さん、こんなにいろんなこと、よくやらせてくれますね。どんな人なんだろう?」
吉澤さん「あ、今日、もしかしたら社長が会社にいるかもしれません。ついでに話聞いてみます?」
滝口「え、ぜひ、お願いしたいです!」
というわけで、次回、「方南町遊園地化計画」の親玉登場。
怒涛の後編につづく!
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