こんにちは。PANTSの滝口です。ふだんは「思い込みを脱いじゃおう。」を合言葉に、映像・イベント・ゲームなどの企画開発を行っています。この連載は「思考のタガの外し方」をテーマに、これはタガが外れてるなぁ、という街おこし活動をされている方にインタビューして、タガの外し方のコツを探る、というもの。

今回は、東京・丸ノ内線の終点・方南町にあるお化け屋敷へ。なんで住宅街の中にお化け屋敷をつくったんだろう? 前編でホラープランナー吉澤ショモジさんに話を聞いたところ、お化け屋敷だけでなく「方南町遊園地化計画」というとんでもない計画まであるらしい。社長はどこまで自由放任なんだ? さっそく吉澤さんといっしょに社長にも話を聞いてみました!

前編はこちら

方南町遊園地化計画とは?

こちらが社長の斎藤優さん。

滝口「いきなりお時間いただいてすみません。吉澤さんの話を伺ってたら、社長の斎藤さんの話もお聞きしたいと思いまして。先に物件を借りてから、そこで何かやってよ、って吉澤さんたちにいきなり依頼するとか、思考のタガ、外れてますよね?」

斎藤さん「うーん、タガが外れているというより、あんまり常識がわからない人間ではあるかもしれませんね」

滝口「まず、方南町遊園地化計画についてお聞きしたく。いろんなアトラクションのことは吉澤さんに伺いました(注:前編参照)。米を売りたいから悪代官から米を盗む『米泥棒大作戦』というアトラクションをつくった、というのもスゴい。それらアトラクション以外にも、ヒーローや駄菓子屋さん、地域通貨なんかもあるとお聞きしました」

斎藤さん「方南町の駅ってエレベーターが元々なかったんです。だから、ベビーカーを使う親御さんが困ることが多い。ときどき街に出て、それを手助けするのが『ベビーカーおろすんジャー』というヒーローです。これもぼくらの仲間なんですが」

滝口「ボランティア活動をヒーローに仕立てたのか。変ドル、ってのは…?」

吉澤さん「ゆくゆくはいわゆる地域通貨をめざしてるんですけどね。今はいろんなアトラクションを体験すると変ドルがもらえて、それが他のいくつかのお店でも使えます」

滝口「どんなお店で使えるんですか?」

斎藤さん「まだ少ないんですが、本屋さんとかピザ屋さんとか。まぁ、ピザ屋はうちの会社のメンバーがやってるんですけどね。これからもっと増えるといいなと思ってます」

滝口「方南町遊園地化計画っていうコンセプトがあるから、地域通貨も真面目すぎず、楽しそうに聞こえますね。お話を聞いてると斎藤さんはいろんなことをされてますが、本業ってなんでしょうか?」

斎藤さん「本業ってよくわからないんですよね。そのときに大切に思うことをやっていきたいんです」

「崖の上で商売をする」

滝口「では、先に物件を借りていきなり吉澤さんたちに何かやってよ、と言ったときはどんなことを考えていたんですか?」

斎藤さん「研究みたいなイメージでしたね。それまで映像の仕事を受託して行っていたので、実際の一般のお客さんを目の前にして仕事をしてなかったんですね。でも、お客さんから直に100円をもらってどう感じるか、みたいなことが大切なんじゃないかと思ったんです。そのために、ある種の研究として考えてました。やってみたらどうなるのかな、って」

滝口「どうして方南町でやったんですか?」

斎藤さん「ぼくが元々、方南町に住んでたんです。以前、方南町の駅前でアンケートに答えたんですね。質問が『遊びに行くとしたら、高円寺派? それとも、下北沢派?』って。方南町は2つの街の中間くらいにあるんですが、え? おかしくない? 方南町で遊べばいいじゃん、って思ったんです」

滝口「だから方南町遊園地化計画なんですね。でも、方南町ってちょっと来にくい場所ですよね。丸ノ内線の支線の終点だし。商売をやろうと思ったら、もっとアクセスしやすいところの方がいいんじゃないですか」

斎藤さん「昔、ある人に『崖の上で商売してよ』って言われたんです。その言葉がとっても印象的で」

滝口「崖の上で? どういう意味ですか?」

斎藤さん「商売って立地が大事と言われますが、それって必ずしも駅から数分の便利なところみたいなアクセスしやすい場所、という意味じゃないと思います。わざわざ行きたくなるようなことをやっていれば、人は来てくれる。例えば、崖の上でもね。人が来てくれさえすれば、崖の上ってとても特徴的でいい場所かもしれない。だから、そこまでわざわざ行きたくなるような何かをやるのがまず大事で、その場所の良さは後でわかってくる。そんな意味にぼくはとらえたんですよね」

滝口「なるほど、場所が良ければお客さんが必ず来るわけじゃないですもんね」