こんにちは、PANTSの滝口です。PANTSはふだん、ボードゲーム開発をしたり、商品やイベントをつくっています。この連載のタイトルは「思考のタガの外し方」。

まちおこしとは、そのまち独自の魅力を掘り起こすこと。だから、他のまちのやり方をまねしても仕方がない。むしろ「ふつうはこうするよね」のタガを外して考えた方がいいのではないか。

今回は山形県庄内エリアでとんでもないスピード&領域でまちおこしを進めているヤマガタデザインを取材しました。なぜ8年で4領域8つもの事業を同時並行的に立ち上げられたのか。

まちおこしに正解はない、そう思っていました。でも、取材をしてみて、この会社がやっていることが一つの正解の形なのかも……と思えました。みなさんは、どう思いますか?

水田の中のホテル

山形県庄内平野は国内有数の米どころ。土地が平たく、どこまでも水田が見渡せる土地だ。飛行機から見下ろすと、四角に切り取られた田んぼがどこまでも続き、すごく面白い。

その中に突如として現れるホテル「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」、通称スイデンテラス。

建物は周りを水田に囲まれている。夕方の風景もまた幻想的。だれが撮っても簡単に「映える」写真になる。

2018年にできたこのホテルをつくったのはヤマガタデザインという2014年創業の若い会社。オシャレなホテルを経営しているデザイン会社と勘違いしそうな名前だが、この会社は自分たちの事業を「庄内地方のまちづくり」と定めており、この8年で4領域8事業を立ち上げた。

ヤマガタデザインのサイトより引用
ヤマガタデザインのサイトより引用

まずはこの会社の全体像を把握するために、一気に8事業をご紹介!

1 ホテル事業「スイデンテラス」

人を呼ばなくてはまちは活性化しないと考え、最初にホテルをつくることを決めた。「晴耕雨読の時を過ごす、田んぼに浮かぶホテル」のコンセプトのとおり、館内にはたくさんの本が並ぶ。

オシャレなホテルにはよく本が並べてあるけれど、それらは飾りの要素が強い。でもここではボーッと水田を眺めるのが基本なので、そのとき手元に本があると、とっても有意義な時間が過ごせる。筆者も写真集を眺めながら、「オシャレな自分」に浸ってみた。

提供:ヤマガタデザイン
提供:ヤマガタデザイン

窓の外には遠くまで広がる水田。遠くに山。館内もどこを撮っても「映える」ため、宿泊客はいたるところで写真を撮っていた。設計は、著名な建築家・坂茂(ばんしげる)氏。

同行したカメラマンの市門さんは「このホテルの写真を撮ろうとすると、結局、建築家が設計で狙った角度がいちばんよく見えるから、だれが撮っても同じように映える写真が撮れる。よくできてるなぁ」と言っていた。

特にオススメのフォトスポットにはベンチまで設置されていた。開業当初はさまざまなゴタゴタがあったようだが、今では年間7万人以上が訪れるホテルになっている。