おもてなしの達人・青松さん

 サウナの室内の温度を上げる方法として、「ロウリュ」というものがある。火で熱された石(サウナストーン)に水をかけ、そこから一気に立ち上る蒸気を浴びる蒸気浴のことだ。通常は水をかけるが、青松さんは「ちょっとチャレンジしようと思いまして」と、ほうじ茶と紅茶も用意してくださった。

 サウナストーンに紅茶をかけると、体中が紅茶に包まれた気分。皮膚からゴクゴク紅茶を飲んでいるような感覚になる。「こうやって、いろんな香りを楽しんでるんです」と、うれしそうな青松さん。お客さんの相手をしながら、自分も楽しむことを心がけているそう。たしかに、サウナは裸で一緒に入るもの。過度にかしこまった対応をされると、お客さん側もリラックスしにくい。

 蒸気を浴びてたっぷり汗をかいた上で、さっそく鍾乳洞に突入。鍾乳洞特有の冷気が吹き抜け、すでに体が気持ちいい。

 通路は明らかに鍾乳洞の観光用のもの。聞けば、汗をかいたサウナ客と鍾乳洞の観光客が出くわさないよう、鍾乳洞サウナは夕方の時間帯にのみ営業しているそう(編集部注:夕方の時間帯=16時~18時。2021年11月時点)。

 さっそく鍾乳洞の水風呂に入る。

 つ、冷たい…! 水温は摂氏16度らしいが、それよりも鋭く感じる。鍾乳洞の中の冷気のせいだろうか。サウナの後の水風呂は意識がフワフワするものだが、鍾乳洞サウナは神秘的な鍾乳洞の中だからか、より浮遊感のある不思議な感覚に包まれる。

 このメディアで、おじさんが緩みきった表情の写真を出してもいいのだろうか。ただ、ここに入るときっとだれでもこんな表情になる、はず。

 天然の水風呂から出て外気浴で休憩。天国はここにある。

 テントサウナの後、再び鍾乳洞の水風呂に向かうと、青松さんがSUP(スタンドアップパドルボード)のボードを出してくれた。本来は水に浮かべて立ってパドルで漕いで進む乗り物だが、今回はここに寝そべり、水風呂と外気浴を同時に体験する。

 ボードに浮かべられて洞窟の中を進むと、少し不謹慎な言い方かもしれないが、この世からあの世に向かっているような気分に。(死ぬのがこういう感覚なら、死ぬのも悪くないな)と思えた。

 鍾乳洞を抜けた先では、滝に打たれることもできる。都会にある施設サウナとはまったく異なる体験が、大自然の中で体験できる。同じジャンルの「サウナ」ではくくれない感覚がそこにはあった。

 一方で、大自然相手だから、気をつけないと危ないところもある。そこは支配人の青松さんが安全に導いてくれた。おもてなしのこころを感じた。