こんにちは。PANTSの滝口です。PANTSはふだん、ゲーム開発をしたり、商品やイベントをつくっています。この連載のタイトルは「思考のタガの外し方」。

まちおこしは、そのまち独自の魅力を掘り起こすこと。だから、他のまちのやり方をまねしても仕方がない。むしろ、「普通こうするよね」のタガを外して考えたほうがいいのではないか。

今回は大分県豊後大野市のアウトドアサウナの取り組み。単にサウナブームに乗っただけかと思いきや、そこには課題大国ニッポンの最先端をめざす壮大な野望があった。

前編「サウナ体験編」はこちら

点ではなく、面の戦い

大分県豊後大野市の人口はわずか約3万4000人。しかも、その44%が65歳以上の超高齢化が進んだまち。この15年で人口は約1万人減った。そんな地方でアウトドアサウナを軸に、壮大な野望を描くのが「おんせん県いいサウナ研究所」代表の高橋ケンさんだ。

※撮影時だけマスクを外していただきました
※撮影時だけマスクを外していただきました

「おんせん県いいサウナ研究所」は、大分県豊後大野市におけるアウトドアサウナ文化を盛り上げるための協議会だ。会の名前になぜ「おんせん県」とあるのか。それは湯布院・別府など有名な温泉地がたくさんある大分県の中で、豊後大野だけが温泉が出ないため、あえて、おんせん県にあってサウナを軸にまちおこしをしていく、という気持ちの表れ。

「おんせん県いいサウナ研究所」Webサイトより
「おんせん県いいサウナ研究所」Webサイトより

その「おんせん県いいサウナ研究所」の代表である高橋さんは、宿泊施設「LAMP豊後大野」およびそこに併設される「REBUILD SAUNA」の支配人でもある。

こちらが前編でも紹介した「LAMP豊後大野」および「REBUILD SAUNA」。

高橋さん「今、豊後大野はありがたいことに九州のサ旅(サウナを目当てに旅をすること)の王道ルートに入れていただいているので、どんどんお客さんが来てくれているんです」

新型コロナの影響は受けつつも、サウナをグループで貸し切りし、あとは水風呂がわりに川に飛び込む豊後大野のアウトドアサウナはその安心感からか、多くのグループが訪れ、予約でいっぱいだ。サウナファンならだれでも知ってる「サウナイキタイ」というサイトでも、大分県の人気サウナランキングのうち、2位・3位・4位・5位・12位が豊後大野のサウナとなっている。(2021年10月20日現在)

高橋さん「大事なのは、まちを回遊してもらうこと。例えば、REBUILD SAUNAに入ってもらってから稲積水中鍾乳洞のサウナに行ってもらったり。だから、お互いのサウナはライバルじゃないんです。一つひとつのサウナそれぞれがお客さんを呼び込む、いわば“点の戦い”じゃなくて、『豊後大野のサウナに行こうって思ってもらう』という“面の戦い”のためにおんせん県いいサウナ研究所をつくったんです」

それぞれのサウナ施設がそれぞれに客を呼び込むと、各サウナ施設は客を取り合うライバル関係になる。また、『サ道』というマンガ原作のドラマの影響もあり、全国でもテントサウナブームが来始めていたため、他の地域とも競争関係になってしまう。一つひとつのサウナ施設が独自に情報発信をしても限界があり、九州全体や全国に存在を知ってもらうことはとても難しい。

高橋さん「でも、複数のアウトドアサウナを束ねて、アウトドアサウナのまちとして豊後大野が認知されれば、とりあえずサウナ好きなお客さんは豊後大野に来る、っていう流れがつくれる。このまちに来てくれたら、お互いのサウナを紹介し合う。すると、豊後大野の中でお客さんの回遊が生まれるんです」